システム農学
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複雑な生態系モデルのモンテカルロ感度分析法の頑強性
広岡 博之大久保 忠旦
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ジャーナル オープンアクセス

1991 年 7 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

モンテカルロ感度分析を、放牧牛と草地に関する生態系モデルに適用した時の、感度結果の頑強性について検討した。このモデルは9種の状態変数と66個のモデルパラメータから成るコンパートメントモデルである。最初に、反復回数(すなわちモデルパラメータを変更したモデルランの回数)を100、500、1,000、2,000、4,000回とした時の感度結果に対する影響を調べた。120日目におけるすべての状態変数の予測値に関する感度結果は、反復回数に関係なく一定であったが、180日目における3種の状態変数の予測値の感度結果は反復回数が100回の時に他と大きく異なった。その結果から、一定の感度結果を得るには少なくとも500回以上の反復が必要であることが示唆された。第2に、感度結果に対するモデルパラメータの変動幅の影響を調べた。120日目においてはすべての状態変数の予測値に対して感度結果は一定していたが、180日目においては3種の状態変数の予測値の感度結果が異なった。以上2つの結果から、これら3種の状態変数は反復回数やモデルパラメータの変化に対して不安定な予測値となると考えられた。第3に、本法と従来の感度分析の結果を比較したところ、120日目には2つの手法の感度結果はほとんど完全に一致したが、180日目にはいくつかのモデルパラメータの感度が両方法で異なった。異なる結果を示すモデルパラメータは、生態系モデルにおいてlogistic曲線の限界値(最大値)として用いられている点で共通していた。

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© 1991 システム農学会
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