システム農学
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7 巻, 1 号
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投稿論文
  • 広岡 博之, 大久保 忠旦
    1991 年 7 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    モンテカルロ感度分析を、放牧牛と草地に関する生態系モデルに適用した時の、感度結果の頑強性について検討した。このモデルは9種の状態変数と66個のモデルパラメータから成るコンパートメントモデルである。最初に、反復回数(すなわちモデルパラメータを変更したモデルランの回数)を100、500、1,000、2,000、4,000回とした時の感度結果に対する影響を調べた。120日目におけるすべての状態変数の予測値に関する感度結果は、反復回数に関係なく一定であったが、180日目における3種の状態変数の予測値の感度結果は反復回数が100回の時に他と大きく異なった。その結果から、一定の感度結果を得るには少なくとも500回以上の反復が必要であることが示唆された。第2に、感度結果に対するモデルパラメータの変動幅の影響を調べた。120日目においてはすべての状態変数の予測値に対して感度結果は一定していたが、180日目においては3種の状態変数の予測値の感度結果が異なった。以上2つの結果から、これら3種の状態変数は反復回数やモデルパラメータの変化に対して不安定な予測値となると考えられた。第3に、本法と従来の感度分析の結果を比較したところ、120日目には2つの手法の感度結果はほとんど完全に一致したが、180日目にはいくつかのモデルパラメータの感度が両方法で異なった。異なる結果を示すモデルパラメータは、生態系モデルにおいてlogistic曲線の限界値(最大値)として用いられている点で共通していた。
  • 王 冠明
    1991 年 7 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 1991年
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    いかなる国においても、究極的に最も重要な計画は、国民の生存のための「食料計画」であろう。この計画は、人口が11億を越える中国において特に重要な意義をもっており、自国の存続と全人類の発展のために、食料自給の確保を図らなければならない。しかるに、これまでの食料政策では、農業生産請負制と政府買付価格の引き上げで農民の生産意欲を一時的に刺激したが、経営規模は小さくなった。さらに1984年以後、農産物の統一買付制度が廃止され、食糧生産の収益の比較優位性が著しく低下したため、食糧生産量は4億t程度にとどまり、需給の不均衡を生じている。それのみか、人口の激増によって農村では過剰の労働力を生じており、農民の所得は都市勤労者のそれより格段に低い。それらの問題を解決する端緒として、本論文では、まず社会主義国中国の食糧生産及び食料需要について分析を行い、中国の食料政策の変遷と中国の食料需要法則を明らかにした。具体的には、中国の食料需要関数と食料消費関数を計測し、それによって、世界に共通の一般需要法則が社会主義の中国においても成立することを示し、中国の食料政策の課題に関する考察を行った。
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