システム農学
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食料需要関数の計量分析からみた中国の食料政策の課題
王 冠明
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ジャーナル オープンアクセス

1991 年 7 巻 1 号 p. 10-20

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抄録

いかなる国においても、究極的に最も重要な計画は、国民の生存のための「食料計画」であろう。この計画は、人口が11億を越える中国において特に重要な意義をもっており、自国の存続と全人類の発展のために、食料自給の確保を図らなければならない。しかるに、これまでの食料政策では、農業生産請負制と政府買付価格の引き上げで農民の生産意欲を一時的に刺激したが、経営規模は小さくなった。さらに1984年以後、農産物の統一買付制度が廃止され、食糧生産の収益の比較優位性が著しく低下したため、食糧生産量は4億t程度にとどまり、需給の不均衡を生じている。それのみか、人口の激増によって農村では過剰の労働力を生じており、農民の所得は都市勤労者のそれより格段に低い。それらの問題を解決する端緒として、本論文では、まず社会主義国中国の食糧生産及び食料需要について分析を行い、中国の食料政策の変遷と中国の食料需要法則を明らかにした。具体的には、中国の食料需要関数と食料消費関数を計測し、それによって、世界に共通の一般需要法則が社会主義の中国においても成立することを示し、中国の食料政策の課題に関する考察を行った。

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© 1991 システム農学会
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