システム農学
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多階調グレースケールによるデジタル画像標準化と それを利用したダイズ個体群生体量の推定
二宮 正士和住 洋一郎荻野 圭一重盛 勲
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1991 年 7 巻 2 号 p. 2-10

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抄録

汎用35mmカメラで撮影されたカラースライドと白黒赤外写真を画像解析することで対象物の濃度値を計測し、ダイズ個体群の生体量を推定することを試みた。濃度値は対象個体群のデジタル画像の持つ濃度情報(階調値)をもとに求めるが、各画素の持つ情報は本来の濃度情報に比べ、写真撮影、写真のビデオ化、三色分解(アナログRGB化)、デジタル化などの信号変換を経て非線形的に歪められているのが普通である。そこで本研究では対象個体群撮影時に多階調のグレースケールも撮り込み、最終的に得られたデジタル画像をグレースケールの情報を元に標準化することでその歪みを補正し、デジタル画像の階調値と本来の濃度値の関係を線形化して対象領域の平均濃度値を求めた。1回の撮影でカラースライドをビデオ化しさらにアナログRGBにデコードして獲得した3種類の異なる可視スペクトル領域に対応するデジタル画像と、白黒赤外フィルムからの近赤外領域に対応するデジタル画像の計4枚を得、4種類の濃度値が計測された。以上の方法でダイズ3品種、3水準の栽植密度、4段階の生育ステージについて対象領域の平均濃度値を求めた。その結果、濃度値の指数変換値やそれらの関数と葉面積指数(LAI)、生全重、乾全重、乾葉重との間に線形関係が見いだされた。それはこれまでスペクトルメータを用いて行なわれた同種の実験の結果と一致し、本方式によってもそれら個体群生体情報を推定しうることが示唆された。

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© 1991 システム農学会
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