The Journal of JASTRO
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ISSN-L : 1881-9885
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放射線治療の晩期有害事象に対する高気圧酸素療法についての検討
松下 晴雄根本 建二小川 芳弘有賀 久哲武田 賢坂谷内 徹藤本 圭介奈良崎 覚太朗神宮 啓一高井 良尋山田 章吾
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2007 年 19 巻 3 号 p. 147-155

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抄録
放射線治療後晩期有害事象に対し,高気圧酸素療法が施行された29例を対象に,その治療効果などについて検討した.障害内容の内訳は,(上)下顎骨壊死あるいは骨髄炎 8 例,直腸粘膜障害 7 例,出血性膀胱炎 7 例,食道潰瘍 3 例,喉頭壊死 2 例,放射線脊髄症,皮膚潰瘍が各 1 例であった.高気圧酸素療法前後の状態をRTOG/EORTC遅発性放射線反応評価基準に従って評価し,gradeで 2 段階以上の減少を著効,1 段階の減少を改善とした.著効率は17%,著効,改善を合わせた奏効率は79%であった.治療による増悪例は認めず,重篤な副作用も見られなかった.文献的には単一の障害に関する高気圧酸素療法の経験の報告があり,奏効率も同程度の結果が多いようである.放射線治療後の晩期有害事象に対しては,ほかに有効な治療法が少ないため,治療の選択肢として認識し,積極的に適応してみるべきであると考えた.
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© 2007 日本放射線腫瘍学会
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