The Journal of JASTRO
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前立腺癌外部放射線治療における照射体位の違いがリスク臓器線量に及ぼす影響—異なる臨床標的体積での検討—
加藤 貴弘小幡 康範不破 信和島田 秀樹角谷 倫之
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2009 年 21 巻 2 号 p. 71-76

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抄録
【目的】前立腺癌外部放射線治療における臨床標的体積(CTV)の範囲は,低リスク群では前立腺のみ(PO),中・高リスク群では前立腺と精嚢(PS)というように,一般的に病期によって異なる.腹臥位照射時の直腸線量低減効果がCTVの範囲の違いにより,どのように影響するかを定量的に解析した.【方法】対象は,仰臥位と腹臥位で,一時に連続して治療計画用CTを撮影することができた前立腺癌18例とした.照射位置精度は両体位ともに同等であると仮定して,PTVマージンは 8mm(直腸側のみ 5mm)に統一した.症例ごとに 2 種類のCTVと 2 種類の照射体位の計 4 種類の3D-CRTの計画を立て,直腸および膀胱のV90をDVHから求め,両体位で比較を行った.また,PS後縁と直腸前縁の距離をスライスごとに測り,腹臥位にすることで,どの程度距離が離れるかを解析した.【結果】前立腺と直腸の距離は体位変換により大きく変化しなかったが,精嚢と直腸との距離は,腹臥位にすることで離れる傾向にあることが確認できた(最大20mm強).直腸V90を両体位で比較してみると,CTVをPOとしたときは両者に有意差を認めなかったが(p=0.57),PSとしたときは有意差を認めた(p=0.0015).膀胱についても解析したが,いずれのCTVにおいても,体位間で有意差を認めなかった(それぞれp=0.42,p=0.22).【結論】腹臥位照射の直腸線量低減効果は,CTVの範囲によって異なり,PSをCTVとする中・高リスク群症例に対して有効な技術オプションとなり得る可能性があると考えられた.
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© 2009 日本放射線腫瘍学会
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