抄録
【目的】局所進行外耳道癌に対する放射線治療の成績をまとめ,治療前MRI所見と局所制御の関係を中心に検討する.【対象と方法】対象は,局所進行外耳道癌の診断にて当院で放射線治療を行い,12カ月以上追跡可能であった 8 例(全例高分化扁平上皮癌)で,Stellら1)の分類にて,T2:2 例,T3:6 例.治療前MRI所見は,耳下腺浸潤 4 例,顎関節浸潤 2 例,硬膜浸潤 2 例,内頸動静脈に腫瘍が近接 3 例であった(重複含む).リンパ節転移は 1 例で,耳下腺内に認めた.手術が行われたのは 6 例で,照射前5 例,照射後 1 例,術式は全例外側側頭骨切除術であった.放射線治療は 1 回 2Gyの通常分割にて,計60~66Gyの照射を施行,うち 5 例で化学療法が併用された.経過観察期間は13~77カ月(中央値28カ月)であった.【結果】T2症例では,1 例が局所再発による原病死(26カ月)で,残り 1 例は無病生存(30カ月),T3症例では,4 例が局所再発による原病死(13カ月,15カ月,20カ月,77カ月)で,残り 2 例が無病生存(29カ月,45カ月)であった.治療前MRIにて硬膜浸潤を認めた,あるいは内頸動静脈に腫瘍が近接していた 5 例はいずれも局所再発したのに対し,それらの所見が見られなかった 3 例は再発を認めなかった.リンパ節転移や遠隔転移で再発した症例は認めなかった.【結語】これまでの報告と同様,T2・T3症例の治療成績は不良であったが,特に治療前MRIにて腫瘍の硬膜浸潤や内頸動静脈への近接を認める場合には極めて成績不良であり,同所見は重要な予後因子になりうることが示唆された.