抄録
重粒子線がん治療装置 (HIMAC) の建設計画は1984年より放医研で開始された. HIMAC及びその建屋の詳細設計は, 放射線腫瘍学の要求を基に, 既に完成している. HIMACは2台のイオン源, RFQ線形加速器, アルバレ型線形加速器, シンクロトロン, 高エネルギービーム輸送系及び放射線腫瘍学施設から構成される. 主加速器シンクロトロンは2つのリングで構成され, それぞれ繰り返し率0.5Hzで, 互いに半周期位相をずらして運転される. 本装置に要求されている粒子種は, 原子番号でヘリウムとアルゴンの間の粒子であり, その出力エネルギーは荷電質量比が1/2のものに対して, 核子当り100MeVから800MeVまで得られる. 放射線腫瘍学施設は, 重粒子線の治療と医療関連施設, 放射線腫瘍物理学及び生物学の実験施設を含んでいる. 特に洗練された治療施設はビーム照射系, 患者位置決め系及び治療計画系等で構成されて, 重粒子線治療では欠くことのできない, 3次元原体照射に必要な全ての機器を備えている. HIMAC施設全体は1993年に完成の予定である.