The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
ISSN-L : 1881-9885
1 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 田中 良明, 竹下 祥敬, 丹羽 幸吉, 鎌田 憲子, 松田 忠義, 松谷 雅生
    1989 年 1 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    術中照射を施行した95例の原発性ないし転移性脳腫瘍症例中, 腫瘍再発の疑いで再手術が行われ, 結果的には組織の大半が放射線壊死であった7例の臨床経過について検討した. 術中照射の線量は15~20Gyで, 術前ないし術後に30~72Gyの外部照射を行っていた.CTでは腫瘍摘除後の病巣部に不規則な造影増強像が出現し, 経時的に拡大して周辺に低吸収値域を伴い, 再発像とまぎらわしかった. 再手術の結果, 組織学的には辺縁部の一部に腫瘍細胞の残存が疑われたものの, 病変の主体は放射線壊死であった. フィブリン滲出を伴った凝固壊死巣は術中照射の際の照射野に相当し, 血管変性も著しく, 基本的にはdelayed radiation necrosisと同一であった. 術中照射後にみられる脳壊死は治療効果の現われの一つとみなせるが, 壊死巣が吸収されにくいことを考慮して治療する必要がある.
  • 芝本 雄太, 高橋 正治, 岡田 謙一郎, 大石 賢二, 吉田 修, 阿部 光幸
    1989 年 1 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    前立腺癌22例に対して経会陰的に術中照射を施行した結果を分析した. 7例は術中照射単独 (28-35 Gy) で治療し, 15例に対しては術中照射と全骨盤腔外部照射を併用した. 後者の線量は, 術中照射25 Gyと外部照射50 Gyを原則とした. 電子線のエネルギー, 照射筒の大きさは, 腫瘍の大きさに応じて, 8-14 MeV, 3-5cm径 (主として楕円形) のものを選択した. 26-146ヶ月の経過観察期間中, 局所制御は22例中17例において得られた. 局所再発をきたした5例のうち4例は, 不適切な術中照射によると考えられた. 姑息的治療として術中照射を行ったStage D2の1例を除いた, 21例の5年生存率は72%, 5年非再発生存率は43%であったが, 術中照射の技術を確立した今後は, さらに成績が向上すると考えられる. 直腸・膀胱に対して問題となる局所障害は認めなかった. 本治療法は少ない副作用で局所制御を得る有用な方法と考えられた.
  • 河内 清光, 金井 達明, 遠藤 真広, 平尾 泰男, 恒元 博
    1989 年 1 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    重粒子線がん治療装置 (HIMAC) の建設計画は1984年より放医研で開始された. HIMAC及びその建屋の詳細設計は, 放射線腫瘍学の要求を基に, 既に完成している. HIMACは2台のイオン源, RFQ線形加速器, アルバレ型線形加速器, シンクロトロン, 高エネルギービーム輸送系及び放射線腫瘍学施設から構成される. 主加速器シンクロトロンは2つのリングで構成され, それぞれ繰り返し率0.5Hzで, 互いに半周期位相をずらして運転される. 本装置に要求されている粒子種は, 原子番号でヘリウムとアルゴンの間の粒子であり, その出力エネルギーは荷電質量比が1/2のものに対して, 核子当り100MeVから800MeVまで得られる. 放射線腫瘍学施設は, 重粒子線の治療と医療関連施設, 放射線腫瘍物理学及び生物学の実験施設を含んでいる. 特に洗練された治療施設はビーム照射系, 患者位置決め系及び治療計画系等で構成されて, 重粒子線治療では欠くことのできない, 3次元原体照射に必要な全ての機器を備えている. HIMAC施設全体は1993年に完成の予定である.
  • 小川 史顕, 飯沼 武, 中村 譲, 遠藤 真広, 伊藤 浩, 南 周子
    1989 年 1 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    CT, MRI等の発達で癌の人体内での分布が細部まで極めて明確にわかるようになってきた. そのため, 線量分布の最適化の問題が外部照射においても, 極めて重要になってきている. この目的のため, Computed Reconstruction for Radiotherapy Optimization (CRRO) 法を検討している. 本論文ではこのCRRO法に関して, その原理とコンピューター・シミュレーションおよび照射実験の結果を示す. 本法では, 腫瘍がいかに凹凸不正または, 離散して分布していても, 対応出来る利点がある. またソフトウエアの制御により, 任意の外部に凸な複数の領域につき, 打ち抜き照射を行なうことが出来る.
  • 菱川 良夫, 栗栖 孝一, 谷口 緑, 上紺屋 憲彦, 三浦 貴士
    1989 年 1 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1980年5月から1986年12月末までに, 兵庫医科大学放射線科で外照射後に高線量率腔内照射を併用し治療した食道癌症例は92症例であったが, それらの治療成績ならびに死因について分析した. 1期ないしII期症例は46例で, 放射線治療後の判定で, 著効 (CR) 48%, 有効 (PR) 38%であった. また生存期間中央値は13月, 2年生存率89%, 5年生存率18%であった. III期ないしIV期症例は46例で, 放射線治療後の判定で, 著効 (CR) 8%, 有効 (PR) 85%であった. また生存期間中央値は8.5月, 2年生存率7%であった. 生存中の10例をのぞく, 82症例の死因の主原因について分析したが, 局所再発と転移であった. I期ないしII期症例では, 13例が局所再発を死亡時に認めたがすべて2年以内に死亡していた. 転移だけを認めた11例では, 8例が2年以内に死亡していた. III期ないしIV期症例では, 20例が局所再発を死亡時に認めたがすべて1年以内に死亡していた. 転移だけを認めた17例では, 13例が1年以内に死亡していた.
  • 大川 智彦, 喜多 みどり, 田中 真喜子
    1989 年 1 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1969年から1986年までに東京女子医大・放射線科・臨床腫瘍部において, 初回治療を施行した上顎洞扁平上皮癌87例中, 重複癌10例を除いた77例を対象とし, その治療成績について分析を行った. 治療方法は治療内容により前期 (1969年~1974年), 中期 (1975年~1977年), 後期 (1978年~1986年) に分類される. 前期は手術と放射線治療, 中期は手術・放射線治療および5-Fruorouracil (5-FU) を主体とした動注療法による三者併用療法, 後期は手術・放射線治療およびAdriamycin (ADR) を用いた動注療法による三者併用療法である. 5-FUは放射線の増感作用を期待して用いられ, ADRは放射線とのEnhancement Factorの最も高い薬剤であり, 局所の組織集積性の高いものとして選ばれた. 全例, 開洞術後に放射線治療が開始され, 照射期間中は連日積極的に局所清掃を目的とした挿拠術を施工した. 手術療法は放射線治療終了後1週以内に行われ, Denker手術に準じ腫瘍摘出が施工された. 放射線治療は60coγ 線を用い, 直交二門照射で行い, 総線量は前期で60Gy/6週, 中期で50Gy/5週を基本とし, 後期で40Gy/4週を標準とし, 症例により10Gyを追加した. 動注療法は中期は5-Fu250mg/日を照射期間中に連日持続動注し, 20日間を基本とした. 後期はADR 10mg/日を照射開始と同時に5日間oneshot動注し, 2週の休薬後再び5日間動注を行い, 計100mg使用した.各年代の症例数は前期: 17例, 中期: 31例, 後期: 27例であった. JJC分類によるT分類はT2: 20例, T3: 45例, T4: 12例であり, 頸部リンパ節転移は14例 (18%) に認められた. 2年原発巣局所制御率は前期: 2/7 (29%), 中期: 6/22 (27%), 後期: 15/26 (58%) であった. Kaplan Meier法による5年累積生存率は前期: 13%, 中期: 40%, 後期: 54%であり, logrank testで前期と中期・後期に統計学的有意差 (P<0.01) を認めた. 明らかな晩期障害は, 白内障5例, 難治性上顎洞感染が1例であった. 後期における顔面の形態学的変化は, 顔面の左右差のほとんど認められないもの (1度) 32%, 患側口角の挙上の認められるもの (II度) 32%, さらに頬部の変形を伴うもの (III度) 36%であった. ADRを用いた三者併用療法は局所制御率に優れ, 形態学的及び機能的にも良好であり, 有用な治療法と考えられる.
  • 岩井 博, 古畑 哲彦, 武田 尚
    1989 年 1 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    最近の放射線生物学の進歩によりいくつかの腫瘍では単純分割よりも多分割照射がよりよい治療可能性比がえられると推測される.これらのデータより1回60~100cGy, 1日3回, 4時間間隔, 総線量70~75Gy, 治療日数6.5~7.5週間の多分割照射を主に泌尿器および頭頚部腫瘍に試みた. T-1, 2, N-の限局症例の制御は良好であったが, T-3, 4, N+の進行症例の制御はほとんど単純分割と同じで, このような進行症例に総線量を増加しても制御は改善されず, 急性障害が急増した.
  • 臨床例10例の腫瘍血流量の解析と加温針の至適刺入間隔について
    青柳 裕, 兼平 千裕, 小堀 賢一, 望月 幸夫, 原田 尚彦
    1989 年 1 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    915MHz, microwaveによる組織内加温の症例10例を経験した. 血流量との相関における加温針の至適刺入間隔を求めるため, 各症例の加温領域内の加温時における血流量を計算し, 得られた血流量および刺入された加温針の間隔と加温温度の関係を検討した. その結果, 加温針の至適刺入間隔は腫瘍血流量により異なり, 36m1/100g /min以下の血流量を示す鵬では2cm間隔でよいが50m1/100g/ min以上の大きな血流量を示す腫瘍では2cm以下1cmまでの間隔で加温針を配列する必要があるとの結論を得た.組織内加温法は, 加温針を至適刺入間隔で計画通りに配列できれば, 充分な温度で加温領域を確実に加温できる加温法であると思われた.
feedback
Top