The Journal of JASTRO
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経尿道的切除術および動注化学放射線同時併用療法による膀胱温存治療の一次効果
永野 尚登永田 真樹山口 邦雄長嶋 敏幸田之畑 一則
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2002 年 14 巻 4 号 p. 247-251

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抄録

金摘術が標準治療どなっている膀胱癌においても温存療法は, 多くの施設で臨床試験として検討されつつある. 経尿道的舞除籍 (TuR) 後, 3回の動注化学療法 (CDDP45mg/m2, MTX30mg/m2) と5門照射による60Gy/30fx/6wksの局所放射線治療を同期併用するような, 動注法による三者併用療法の報告は寡少であるため, まず本法の急性毒牲と一次効果との検討を, 静注法による三者併用療法の報告例を比較の対象として, 単アームでプロスペクティブに行う事とした. 一次効果はRECISTの規準, 急性有害事象はNCIの規準にしたがって評価した. PS0-1のHigh risk T1 (T1G3, TUR不完全切除, 多発難病変, 広基性病変, 多数回再発);7例, T2;7例, T3;3例, T4;1例が登録された. BCG膀胱内注入療法を追加した後のCR率は87%(CI66~97%) であった. TURと通常鈴割法による放射線治療と静注法との組み含わせによる諸繋の報告 (2論業, 229例, CR率62%) との間に有為の差が認められた (p=0103). Grade3の白血球減少が26%にみられ, シスプラチン単独の静注併用の報告に比し白血球減少の頻度が高かった. 膀胱直腸の急性反応は軽微であった. 平均15ヶ月の経過中に4例の再発例と2例の転移例を認めた. 再発例は直ちに全摘術をするという方針に従ってすでに3例で手術が完了されている. 他の1例は乳頭状罪浸潤癌であったのでBCG膀胱内注入療法がおこなわれ, 再びCRとなった. 転移例には金身化学療法を行ったが奏効を見なかった. 静注法による三者併用療法に比し一次効果は良好で急性毒性も認容可能であった.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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