The Journal of JASTRO
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X線エネルギーの違いによる早期声門癌治療の吸収線量評価
フィルムタイプ線量計を用いた検討
青山 英樹中桐 義忠稲村 圭可田原 誠司宇野 弘文東 義晴平木 祥夫
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2002 年 14 巻 4 号 p. 239-245

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抄録

【目的】早期声門癌に対する放射線単独治療は確立されており, 成果を上げている, しかし, 現在では, 各施設で保有する装置は多種類であることから, 必ずしも奨励されているX線エネルギーを馬いて早期声門癌の放射線治療ができない現状がある. その結果, 使用するX線エネルギーの種類により病巣に短する吸収線量が異なり, 治療成績に影響をおよぼす. これは, 頸部および喉頭の形状や構造に深く関係しており, 選択するX線エネルギーの違いにより不整な頸部形状や密度変化の大きい喉頭, いわゆる不均質部において吸収線量堺足が生じると考えられる. そこで, 本婿究では, 前交連と声門部を含む喉頭の不均質部の達続した吸級線量測定を特殊なフィルムタイプ線量計を用いて試みた. さらに, 三次元治療設画装置が算出する頸部ファントムの各部位における吸収線量との比較などを参考に, X線エネルギーの違いが喉頚の正中矢状面における各部位の吸収線量におよぼす影響について解析を行った.
【対象および方法】成人男子単期声門癌患者の声門部にて, 喉頭の解部学的関係に異常が認められなかった15例のComputed Tomography (以下CTと略す) の画像情報に基づき正中矢状面で左右対称に分離することができる頸部ファントムを作製し, 線量計としてフィルムタイプ線量計Gafbhromic MD-55-2film (Nuclear Assoclates, 正nc: 以下Gaf-filmと略す) を頸部ファントムに挟み込み, X線エネルギー4MV, 6MVならびに10MVそれぞれを用いて, 左右対向二門照射を行った. また, 3D-RTPSを使用して同条件の治療計画を行った.
【結果】目的線量20Gyに対する前交連および声門中央部での各X線エネルギーの吸収線量抵下率は, 4MVの時, 6.15%・7.35%, 6MVの時, 8.90%・9.45%, 10MVの時, 15.6%・12.7%であった.
【結語】Gaf-filmを用いることによって, 早期声門癌患者は, 6, 10MVよりも4MVのX線エネルギーで吸収線量低下率を最小にすることが可能であり, 効果的な放射線治療を行えることが確認できた.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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