The Journal of JASTRO
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原体照射発展の足跡と今後の展開
田中 良明
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2003 年 15 巻 4 号 p. 251-262

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抄録

放射線治療において, 原体照射法の概念が登場してから40年以上が経過した. 原体照射法の理念は, 放射線治療において癌の病巣部に対してはその領域にできるだけ一致した高線量を照射し, しかも周囲の健常組織への線量を減することにより, 局所制御の向上と障害発生の低減を得ようとするものである. この治療指針は現在でもそのまま通用するものであり, その後, コンピュータを応用した画像診断の進歩や治療計画システムの普及, 多分割絞り (multi-leaf collimator: MLC) の改良など, 周辺機器類の技術的改良をもふまえて一段と発展してきた. その代表例が定位照射法であり, 三次元原体照射法であり, IMRT (innsity modulated radi6therapy) である. このような状況から, 原体照射の種類も, その技術的内容からみてさまざまなものが含まれるようになり, 用語の使われ方も多様化してきた. いっぽう放射線腫瘍学に関する基礎的研究も進み, これまで原体照射法は主として物理的線量分布の改善に主眼が置かれていたが, 今後は生物学的観点をもふまえた至適照射法を求めて, より理想的な照射法へと発展するであろう. 本稿では, これまでの原体照射の発展の足跡を概説し, 今後の展開の見通しについて触れることにする.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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