2003 年 15 巻 4 号 p. 263-269
この論文の自的は, ヘッド散乱係数の測定においてミニファントムとビルドアップキャヅプを比較することである. 我々は, ミニファントムとビルドアップキャップを用いて, 4MV, 6MV, 10MV (Varian社Ch照c600C, 2100C) と10MV, 14MV, 20MV, 21MV, 25MV, 50MV (Scanditmnix社マイクロトロンMM22, MM50) の光子ビームのヘッド散乱係数を測定した. 10MVよりも高いエネルギー領域において, ビルドアップキャップを用いて測定したヘッド散乱係数は, ミニファントムによるヘッド散乱係数よりも高い値を示した. その相違は, 照射野が大きいほど, また10MVより高いエネルギーの光子ビームほど著しかった. 一方, Ginacの4MV, 6MV, 10MVについて, 明らかな差はなかった. 我々は, 10MVを越える光子ビームにおけるビルドアップキャッップによる測定は, 混入電子の影響が大きいことを確証した. 各エネルギーについてミニファントムとビルドアップキャップの有用性を検討すると, ビルドアップキャップは10MVよりも小さいエネルギーにおいて有用である. ミニファントムは10MVよりも高いエネルギーにおいて有用である. 10MV光子ビームについては, ミニファントムとビル, ドアップキャップの両方を用いて測定し, 高い精度のヘッド散乱係数が得られる方を選択すべきである.