抄録
我々の施設では, ライナックグラフィー撮影時のフィルム固定に移動式の器具を使用しており, ビーム軸とヲィルム面が垂直である確実性がない, 本稿では, 非垂直撮影ライナックグラフィーにおける擬似セットアップエラー, 対策法及び当施設でのライナックグラフィー撮影時のフィルム傾斜角度について検討した. 数値計算より, 撮影時のフィルム傾斜角度, 照合距離が大きくなるほど, 擬似セットアップエラーが大きくなることが判った. 当施設でのライナックグラフィー撮影時の平均傾斜角度は直交方向照射野で3.4度 (最大12.3度), 斜入方向照射野で6.0度 (最大24.5度) であった. 擬似セットアップエラーを除去する最善の方法は, 垂直撮影を行うことであるが, 非垂直撮影の可能性がある場合に擬似セットアップエラーを小さくするには, できる限り照合距離を小さくすることである. 照合距離が5mm以内であれば, フィルム傾斜角30度の場合でも2mm以内の擬似セットアップエラーに抑えられる.