抄録
様々な臨床的要因め多変量回帰分析法は腫瘍の消失確率や患者の予後を予測するのに有用な情報を提供してきた. しかし, このような方法は治療戦略をどのように変更するかについて要求される情報の提供には, これらの臨床要因の腫瘍放射線抵抗性に関与する生物学的役割が複雑で, しかも細部はまだ未知であるために, 限りがある. この総説では, 正確な腫瘍体積と局所制御に必要な放射線線量の重要性を強調した, これらの因子は直接的に標的腫瘍細胞の腫瘍組織in situの放射線抵抗性とその数に関係しているからである. これらのデータを基に, われわれの考案した生物学的モデルによる解析から, ヒト腫瘍の放財線抵抗性は少数の抵抗性標的腫瘍細胞によって決まると考えられた. 今後の概究では, この抵抗性標的細胞について,(1) 低酸素状況下で獲得される放射線抵抗性機構,(2) 抵抗性標的細胞の腫瘍組織内公布,(2) 抵抗性標的細胞の分子レベルの性状を診断する新しい検査方法の開発, が重要と考えられる.