The Journal of JASTRO
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16 巻, 2 号
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  • 治療戦略のための臨床データから得られる生物学的情報
    佐々木 武仁
    2004 年 16 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    様々な臨床的要因め多変量回帰分析法は腫瘍の消失確率や患者の予後を予測するのに有用な情報を提供してきた. しかし, このような方法は治療戦略をどのように変更するかについて要求される情報の提供には, これらの臨床要因の腫瘍放射線抵抗性に関与する生物学的役割が複雑で, しかも細部はまだ未知であるために, 限りがある. この総説では, 正確な腫瘍体積と局所制御に必要な放射線線量の重要性を強調した, これらの因子は直接的に標的腫瘍細胞の腫瘍組織in situの放射線抵抗性とその数に関係しているからである. これらのデータを基に, われわれの考案した生物学的モデルによる解析から, ヒト腫瘍の放財線抵抗性は少数の抵抗性標的腫瘍細胞によって決まると考えられた. 今後の概究では, この抵抗性標的細胞について,(1) 低酸素状況下で獲得される放射線抵抗性機構,(2) 抵抗性標的細胞の腫瘍組織内公布,(2) 抵抗性標的細胞の分子レベルの性状を診断する新しい検査方法の開発, が重要と考えられる.
  • 木村 智樹, 広川 裕, 村上 祐司, 権丈 雅浩, 兼安 祐子, 内藤 晃, 伊藤 祥子, 伊藤 勝陽
    2004 年 16 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    : 【目的】局所制御の向上を目的とじた切除不能進行非小細胞肺癌に対する予防的リンパ嶺域照射 (ekective nodal irradiation: ENI) を省いた照射野 (involved-field) による加速多分割照射の初期治療成績について検討する.
    【対象と方法】対象は2001年11月から2003年11月まで治療を行った切除不能進行非小細胞癌10例であった. 年齢は51~80才 (中央値75才), 臨床病期はB期1例, IIIA期3例, IIIB期6例であった. 化学療法は原則として隅時併用とし, 8例に施行した。 照射野は原発巣とCT上短径1cm以上の腫大リンパ節を肉眼的腫瘍体積とし, これに呼吸性移動及びセットアッブエラーを加味した安全域を加えた領域を含むものとした. 総線量は放射線単独で治療を行った2例で72Gyと74.6Gy, 化学療法逐次併期した1例で75Gy, 化学療法隅時併用で治療を行った6例で66Gy, 1例で72Gyであった」, 原則として1回1.5Gyを1日2回照射する加速多分割照射で行うた.観察期間は2~25ヶ月 (中央値14ヶ月) であった.
    【結果】10例中3例で局所再発を認め, 2年局所制御率は49.4%であった. 照射野外の領域リンパ節再発は1例のみで, 2年領域制御率は88.9%であった。 2隼原病生存率は47.4%であった.有害事象は, 化学療法同時併用で治療した7例中3例でGrade3 (NCI-CTCver.3.0) の好中球減少を認め, Grade2, 3の肺臓炎をそれぞれ2, 1例に認めたが, いずれも軽快した.Grade2以激の食道炎は認めなかった.
    【結語】Involved-fieldによる加速多分割照射は化学療法同時供用例でも, 比較的安全に施行可能であっ栂、しかし, 今後は化学療法同時併用又は放射線治療単独における至適線量の確笠していく必要があると思われた.
  • 石川 ひめ, 佐藤 守男, 白井 信太郎, 岸 和史, 諏訪 和宏, 納谷 佳孝, 徳永 久樹, 平野 敦之, 鈴木 淳史, 萩野 恵三, ...
    2004 年 16 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】前立腺癌症例に対して外部照射と1日2回の組織内照射を行いその有用性と安全性について検討した.
    【対象と方法】平均年齢775歳の前立腺癌愚者42例 (Stage A, 4例, Stage B, 14例, Stage C, 20例, Stage D, 4例) に前立腺局所に外部照射50Gy (Stage C, Dでは小骨盤40Gyを含む) 照射後に小線源組織内照射を行った. 組織内照射は55Gy×2回/日を4例, 7.0×2回/日を2例, 7.5Gy×2回/日を36例に各々行った。
    【結果と結論】併用療法後のPSA値の測定を行い, 全例にPSA値の下降をみた.平均12ヶ月の観察期間中に3例にPSAfailureをみた.Stage A, B, あるいはGleasonscore6以下の例ではPSA failureをみなかった. 術前PSA値30ng/ml以上と来満例でbNEDsurvival curveに有意差をみた. 副作屠として一時的な直腸出血 (2.3%), 下痢 (7%), 会陰部痛 (4.7%) をみた. 外照部射と1日2回の組織内照射の初期成績から, 本盤用療法は安全で高齢者にも耐え得る軽度の侵襲で有用な治療効果を挙げうるものと期待されるが, 正確な評価のためにはさらなる長期隅の経過観察を必要とする.
  • 萬 篤憲, 戸矢 和仁, 深田 淳一, 土器屋 卓志
    2004 年 16 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    過去10年間36名の下咽頭癌患者に対して放射線治療を第一選択とする治療方針を採った. 化学療法を14名に併用し. 頸部郭清は12名に施行した.36名全体の5年生存率は38%, 2年局所制御率は69%であった. T1, 2, 3, 4の2年局所制御率は各々89%, 89%, 75%, 16%であった.また, 局所制御は腫瘍サイズに依存していた, 治療法別の2年局所制御率は放射線単独で60%, 化学放射線療法で88%であった (P=0.1167). 局所再発した9名中, 2名に救済手術が施行された. N1~2に緑輪て郭清と照射を併用した12名は全例領域再発を認めなかった. N0であった14名中, 頚部リンパ節の後発転移が3名に生じたが, いずれも救済可能であった. 最終的な咽喉頭温存率は67%であった. 照射技術の改善と化学療法の併用により, 放射線治療は手術に遜色ない結果が得られる可能性が示唆された.
  • MRIにおける節外浸潤所見が遠隔転移に及ぼす影響
    鈴木 弦, 早渕 尚文, 小島 和行, 淡河 恵津世, 江藤 英博, 末藤 大明, 田中 法瑞, 安陪 等思, 宮嶋 義巳, 梅野 博仁, ...
    2004 年 16 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】化学放射線療法が施行された上咽頭癌の治療成績を評価する. またMRI上, 節外浸潤を呈する転移リンパ節の存在が治療成績に影響する困子となりうるか検討する.
    【対象と方法】1991年1月から2002年6月までに放射線化学療法が施行され, 半年以上の経過 (中央値24ヶ月) が追えた上咽頭癌症例28例 (II期5例, III期10例, IV期13例) を対象とした. 男性22例, 女性6例で, 年齢は16才~71才 (中央値56才) であった. 照射は通常分割法で頭蓋底部から鎖骨上窩までを含め, 原発巣には50Gy~72Gy (中央値65Gy) を学射した. なお抗癌剤は放射線治療に先行して1-3コース施行した. 治療前の頭頸部MRIは全例に施行し, STIR法で転移リンパ節局囲の高信号領域の存在と長径30mmを越えるリンパ節を節外浸潤有りと定義し, この所見が遠隔転移の発現に影響するかを検証した.
    【結果】累積生存率, 無再発率, 遠隔臓器無再発率は3年でそれぞれ59%, 55%, 75%であった. MRI上, 転移リンパ節は21例 (75%) に認められ, うち節外浸潤は11症例 (52%) にみられた. 節外浸潤所見がない症例では全例で還隔転移がみられなかったが, 同所見を有する4症例に遠隔転移を認めた.
    【結語】上咽頭癌に対する抗癌剤先行の化学放射線療法は満足できる治療成績を導かなかった. MRIにおける節外浸潤所見は遠隔転移を増加させる予後因子になりうると思われる.
  • 谷 正司, 高橋 博史, 小山 裕之, 小田 雅彦, 放射線治療かたろう会調査局
    2004 年 16 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    2001年4月, 東京で過照射事故が起こった. 2002年8月, 我々は, 過照射事故の原因となったウェッジファクターの調査を行った. 調査内容は, ウェッジファクターとその測定方法, 各ビームのTPR20, 10, 線量モニタ単位の計算方法と計算結果の再確認の方法である. 調査は近畿圏の78施設に鯨して実施した, この結果. 61の施設. 78の装置. 40の形式 (不明6) そして135のビームについて回答を得た, 測定された加速エネルギーについて, 公称エネルギー4MVにおいては1.0MVの範囲でばらついていた. また, 公称エネルギー10MVにおいては2.8MVの範囲でばらついていた. MUの計算については, 60%以上の病院がRTPを用いていた. 半数を超える数の施設が, 測定により計算結果の再確認をしている. しかし, 「再確認はしていない」, と當えた施設もあった. ウェッジファクターは, 57%の施設が校正深で測定している.また, 97%の施設が10×10cmの照射野で測定している. 全てのウェッジファクターは, メーカー別, ェネルギー別に, 分大し, 比較のための表とした.
  • 新保 宗史, 西尾 禎治, 中村 譲, 榎戸 義浩, 内山 幸男, 西台 武弘, 川越 康充, 田伏 勝義, 遠藤 真広, 池田 恢
    2004 年 16 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    全国の放射線治療施設を対象に外部放射線治療のQA (quality assurance) に対する調査を行った. アンケート用紙は737の放射線治療施設に送付した. 628施設より返送があり, コバルト放射線治療施設38を含む603施設からの返送を解析した. X線を放射線治療に使用している施設565施設のうち, 1日40人以上の治療を行っている施設は68施設で, 全施設中の12%に過ぎなかった. 1日の治療人数が20人以下の施設は356施設で金施設の63%であった. このアンケートでは以下の点も調査した. 1) 各施設での放射線腫瘍医, 放射線技師の数. 2) QA担当者. 3) 基本釣なQAを行っている割合. 4) モニタ・ユニット計算の確認をしている割合. この調査で, 日本の放射線治療QAは十分に行われていないことが明らかとなった.
  • 戸矢 和仁, 萬 篤憲, 深田 淳一, 土器屋 卓志
    2004 年 16 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】我々は, 当院で1997年12月からIr-192 thin wireを使用して前立腺癌に対する低線量率小線源治療をしていた. 2000年2月から経直腸工コー像から線量分布図を作成する治療計画システムを使馬して, 治療に取り組んでいた. しかし, 国92低線1量率小線源療法にて技術的な問題が明瞭になった. 我々は2001年10月から改良を試みたので, それを報告する.
    【方法】我々は, 当院で2000年2月から2003年2月まで, 限局性前立腺癌患者105例に対して小線源療法を実施した, 我々は技術的. 改, をほどこした2001年玉0月から2003年2月までを後期と定義した (症例58例). 2000年2月から2001年9月まで前期と定義した (症例47例). 後期を前期と比較した. 前期の治療手順は次の通りである. 我々は経会陰釣アブローチでテンプレートの孔を通して, 経直腸超音波ガイド下にて, 前立腺に対してプラスチック針の穿刺をする. CTで穿刺針の位置を確かめて, 前立腺の最大断面での二次元的線量分布図を得た. それを分析し, 線量率を決定して, 線源停留時間を算出した. 我々はclinical target vdumeを前立腺の周縁部に設定した. 外套針に線源を挿入して, それらを固定した. しかし, 我々は次の点を変更した. 1) 患者の体位を拡大砕石位にした. 2) 経直腸超音波プローブを低位/背側にした. 3) 前立腺の尖部に金属マーカーを挿入留置した. 4) 経直腸超音波的に尿道を造影した. 5) 三次元的に治療計画装置で経直腸超音波から線量分布を作成した. 我々は潮立腺, 尿道と臨腸に関達したdose vdume histogramを算出した. そこで, 線量率を決定した. 我々は各々の技術的改良をチェックした.
    【結果】1) 拡大砕石位をとることによって恥骨弓を避けた穿刺が可能になった. 2) 経直腸超音波プローブの位置を背側へ移動さ1せることによって, 前立腺の辺縁領域を十分に描出可能にした. 3) 線源移動の目安を作るために前立腺尖部に全属マーカーを挿入留置した. 4) 造影することにより尿道を尿道を同定することが容易になった. 5) 穿刺針の配置を工夫した. この技術的に改良によって, 尿道と直腸への投与腺量を減少させることが明らかになった.
    【結論】我々低線量率Ir-192 thin wireを用いた限局性前立腺癌に対する小腺源療法の問題を挙げた. これに対して技術的な改良を試みた. これは, 将来の前立腺癌に対する小線源療法の技術的な改良のために参考となるものと考える.
  • 2004 年 16 巻 2 号 p. 128
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/11
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