The Journal of JASTRO
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上咽頭癌に対する放射線治療成績
MRIにおける節外浸潤所見が遠隔転移に及ぼす影響
鈴木 弦早渕 尚文小島 和行淡河 恵津世江藤 英博末藤 大明田中 法瑞安陪 等思宮嶋 義巳梅野 博仁中島 格
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2004 年 16 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

【目的】化学放射線療法が施行された上咽頭癌の治療成績を評価する. またMRI上, 節外浸潤を呈する転移リンパ節の存在が治療成績に影響する困子となりうるか検討する.
【対象と方法】1991年1月から2002年6月までに放射線化学療法が施行され, 半年以上の経過 (中央値24ヶ月) が追えた上咽頭癌症例28例 (II期5例, III期10例, IV期13例) を対象とした. 男性22例, 女性6例で, 年齢は16才~71才 (中央値56才) であった. 照射は通常分割法で頭蓋底部から鎖骨上窩までを含め, 原発巣には50Gy~72Gy (中央値65Gy) を学射した. なお抗癌剤は放射線治療に先行して1-3コース施行した. 治療前の頭頸部MRIは全例に施行し, STIR法で転移リンパ節局囲の高信号領域の存在と長径30mmを越えるリンパ節を節外浸潤有りと定義し, この所見が遠隔転移の発現に影響するかを検証した.
【結果】累積生存率, 無再発率, 遠隔臓器無再発率は3年でそれぞれ59%, 55%, 75%であった. MRI上, 転移リンパ節は21例 (75%) に認められ, うち節外浸潤は11症例 (52%) にみられた. 節外浸潤所見がない症例では全例で還隔転移がみられなかったが, 同所見を有する4症例に遠隔転移を認めた.
【結語】上咽頭癌に対する抗癌剤先行の化学放射線療法は満足できる治療成績を導かなかった. MRIにおける節外浸潤所見は遠隔転移を増加させる予後因子になりうると思われる.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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