1990 年 2 巻 3 号 p. 163-170
1985年11月より1988年11月までの間, 北海道内22の施設が合同で, 肺小細胞癌に対する臨床トライアルを行った. 治療法は, A法CDDP+VP-162クール+放治40-50Gy (B法), CDDP+VP-16+IFOS2クール放治40-50Gyのいずれかで, 層別化ランダマイズを登場時に行った. LimitedDisease (LD) 51例, Extensine Disease (ED) 41例の計92例が期間中に登録された. 主な結果は以下の通りであった.(1) LD群の予後はED群に比べ明らかに良好で (p<0.001), LD群の2年生存率は24%であった.(2) A法とB法の間に, 生存率, Median Survival Time及び局所制御率での差はなかった.(3) LD症例の中では, 予後 (生存率, 局所制御率とも) に結びつく最大の因子は, 初回治療時のTumor responseで, CR群とそれ以下とでは有意の差を認めた.(4) LD症例でも, 再発の主因は胸部内再発であり, 2年局所制御率は52.5%であった. 又, 大半の胸部内再発 (11/14) は照射野内再発であった.局所制御に重点をおいた次のトライアルが必要である.