The Journal of JASTRO
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マウスにみられる正常組織の放射線障害の個体差と予後予測
増田 康治
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1990 年 2 巻 3 号 p. 207-217

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抄録

C3Hf/Bu, 12週齢, 雌マウスの下肢を, すべて同一条件で25Gy一回照射して, 正常組織の障害の程度を観察した. 障害の指標に, 急性皮膚反応, 脱毛, 照射後40日目あるいは, 250日目の皮膚短縮および250日目の下肢短縮を用いた. いずれの指標を用いても, 実験条件は全く同一であったにもかかわらず, 障害の程度はひろく分散した. この分散の程度を線量であらわすために, 線量効果関係と障害の程度のヒストグラムとを重ねあわせると, 1標準偏差値以内という障害の程度の巾は約10Gy相当であった. 晩発性障害の程度をあらかじめ予測する可能性をさぐるために, 同じ資料を用いて, 個々の動物の早期の皮膚反応と晩発性障害との相関関係を求めた. 各群の平均値を求めると, 早期の皮膚反応の程度と晩発性障害とはよく相関したが, 個々の動物の反応値をみると, 早期の皮膚反応の程度が同一であっても, 晩発性障害の程度はひろく分散し, 早期の皮膚反応の程度から, 個々の動物の晩発性障害の程度を予測することは困難であった.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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