1990 年 2 巻 3 号 p. 197-205
多分割照射時において, 新しい放射線増感剤 (RP-170) の有用性を移植ルイス肺癌の成長・マウス皮膚反応から検討した. 回照射における増感剤の併用は, 腫瘍に対して高い増感が得られ, 増感比はRP-170の投与量, 線量に依存した. 同時に, 濃度のRP-170は, 皮膚反応も増強させる可能性があった. 多分割照射との併用では, 3Gy 16回の最大分割照射に少量のRP-170 (80mg/kg: LD50の2%量) を16回併用した場合にも, 1.1の治療可能比が得られた. 各種投与法・分割照射法における効果の解析から, 腫瘍に対する増感比・生存期間の延長は, RP-170の一回投与量, 総投与量に有意に相関し, 分割回数・総線量とは相関はなかった. 分割照射においての皮膚反応の増感は, 明らかでなく, 各因子とも相関はみられなかった. 治療可能比は, RP-170の投与量に最も依存した. 多分割照射時においても, 放射線増感剤 (RP-170) は有用であると考えられる.