抄録
放射線とエトポシドの併用効果をチャイニーズ・ハムスターV79細胞を用いて調べた. 指数増殖期にある細胞に対し種々の処理を行ない, コロニー形成法を指標に生存率を調べた. エトポシドは放射線の線量効果曲線の肩の幅を著しく減少させた. この減少はエトポシドの濃度に相関した. 一方, 曲線の傾きはわずか急峻になるに止まった. 2分割照射実験により, 細胞はエトポシドの存在しない状態では放射線単独あるいは放射線とエトポシドの障害から回復するのに対し, 低濃度のエトポシドが存在すると, 放射線単独あるいは放射線とエトポシドの障害から回復しないことが示された. このことは, 放射線の亜致死障害からの回復に対するエトポシドの抑制効果の存在を示している. 放射線とエトポシド投与のタイミングを変えて処理する実験では, 両者を同時に処理したときが最も効果的で, 両者の間隔をあけるにしたがって効果が低減した.