抄録
マウス移植腫瘍を用いて局所放射線温熱療法時の宿主免疫機能について検討した. C3H/Heマウス由来の自然発生乳癌を2×106個大腿皮下に移植し1週間後15Gyの局所放射線照射あるいは恒温水槽による43℃温熱処理を行った. その結果温熱処理 (20分) 単独群ではコントロール群とほぼ同様の腫瘍増殖を示した. 局所照射15Gy処理後, 温熱処理を10, 20, 30分間併用するといずれの群でも腫瘍の増殖抑制効果は照射単独に比し有意に増強され, 30分間併用群では全例腫瘍消失を認めた. 各処理マウス脾細胞のin vitroでの抗腫瘍活性を検討したところ (cytostatic assay), 局所照射・温熱併用群で終始高い抗腫瘍活性を認めた. また同群のマウスでは脾細胞中のサプレッサー細胞活性の消失を認めた. これらの結果は温熱療法が局所照射の効果を増感するだけでなく宿主の免疫機能の増強を誘導する可能性を示唆した.