The Journal of JASTRO
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下咽頭癌の放射線治療
鹿間 直人伊津野 格小口 正彦曽根 脩輔輪湖 正武井 一喜
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1992 年 4 巻 4 号 p. 229-234

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抄録
1971年1月から1991年9月までの下咽頭癌66例の放射線治療成績をretrospectiveに検討し, 放射線治療の指針を探った.Tlの2症例は局所照射 (原発巣へ54Gyおよび61Gyが投与) で治療され, 照射単独で局所制御された.T病期にかかわりなく頸部リンパ節転移陰性例 (30例) のうち原発巣が制御された15例において, 予防的頸部照射例 (6例) と非照射例 (9例) のリンパ節非再発率は各々100%, 55.5%であり, 前者で再発率が有意に低かった (p<0.05).同様にリンパ節転移陽性例 (36例) における頸部郭清術+照射例 (18例) および照射単独例 (18例) の3年リンパ節制御率は各々55.7%, 17.7%であり前者が有意に良好であった (P<0.05).郭清術併用例で再発した5例はすべて線量が45Gy未満の領域で再発した.原発巣が制御された33例のうち上中咽頭部が照射された13例には同部への再発は見られなったのに対し, 同部が照射されなかった20例中5例に再発が見られ, 両者間に再発率の有意差を認めた (p<0.01).以上より, Tl症例は照射単独で治癒する可能性が示唆された.また全期症例に対し上咽頭から鎖骨上窩および全頸部へ45Gyの照射を行うことにより上中咽頭再発の減少および頸部リンパ節制御の向上が期待できるものと思われる.
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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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