抄録
eラーニングにおいて効果的なコンテンツ開発法の研究は重要な研究課題である.本論では,人間の認知情報処理モデル「デュアル・チャンネル・モデル」に基づき,視覚コンテンツ(テキスト,画像)と聴覚コンテンツ(ナレーション),ポインタを同期して提示するマルチメディア教材が作業記憶容量の資源配分を効率化させるとともに伝達される情報量を増加させると仮定する.ポインタの有無での統制実験を,eラーニングでの様々なコンテンツ提示環境((1)ナレーション,(2)テキスト(ナレーションの有無),(3)画像,(4)画像+テキスト(ナレーションの有無),(5)動画,(6)動画+テキスト)の下で実施し,アイマークレコーダにより学習者の注視点を測定するとともに,記憶保持・内容理解テストおよびアンケート調査を行った.結果,ポインタは表層的な知識獲得には影響しないが,深いレベルの理解には効果があることが示され,それらの効果はコンテンツの種類によって変化することが示された.