抄録
上顎洞癌の放射線治療に併用する化学療法の効果を評価するために, 九州大学で1976年から1991年の間に, 放射線治療単独, FAR療法, BUdR-FAR療法を行った上顎洞扁平上皮癌112例を, 病理学的および臨床的に局所制御率を検討した. T2の放射線治療単独, FAR療法, BUdR-FAR療法での局所制御率は, TDF30でそれぞれ5%, 3%, 20%, TDF 50でそれぞれ30%, 65%, 74%で, TDF 80でそれぞれ80%, 93%, 97%であった. T3では, TDF30でそれぞれ1%, 1%, 0%, TDF50でそれぞれ18%, 46%, 22%, TDF80でそれぞれ62%, 98%, 90%であった. T4では, TDF30でそれぞれ0%, 0%, 0%, TDF50でそれぞれ7%, 13%, 9%, TDF 80でそれぞれ36%, 72%, 60%であった. 差は小さいけれども, 化学・放射線併用療法は, 放射線単独治療より高い局所制御率を示した.