抄録
21世紀の日本のハイテクの旗手として大学発ベンチャーに期待されるところが大きく、最近になって急速に立ち上がってきた。政府も3年間で大学発ベンチャーを1,000社にする計画を掲げて支援策を打ち出してきている。本稿では、大学発ベンチャーの時代的要請、定義、類型を論じた後に、筆者らが文部科学省の事業として日本で初めて実施した調査により明らかとなった現状と課題について論じる。具体的には、①大学発ベンチャーは制約が多い国立大学から多くが創出している、②担い手は教官が半数を占めドイツと異なり博士課程の学生は少ない、③ドイツに比べて起業時は資本金も多額で人員も多い、④起業動機は技術の実用化が多く、業種は製造業が多い、⑤起業時は資金が最大の課題であるが、起業後は人材確保、特許係争が大きな課題となる、⑥起業後も大学から支援を受けている、などを明らかにする。最後に、今後の支援のあり方について提言する。