日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
事例研究
潜在的企業家のリスク認知・起業の意思決定
―認知バイアス・性格特性は影響するか―
堤 悦子
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 3 巻 p. 109-116

詳細
抄録
起業機会に直面した潜在的企業家はいかなる意思決定プロセスを経て起業の意思決定に至るだろうか。私はこの問題を、企業家各自の性格や事業機会をみとめる企業家の意思決定に認知バイアスがどのように影響しているかという観点で検討した。まずビジネス志向のある学生を対象にサーベイを実施し、因子分析とクローンバッハで質問票自体の信頼性を精査して確認した。そして企業家の性格や事実認知をゆがめるバイアスと起業の意思決定やリスク認知と関係をみとめるかについて回帰分析を行った。分析の結果、リスク認知の低さが意思決定を促しているが、認知バイアスとしての自信過剰、コントロール幻想、少数の法則信奉はリスク認知には影響していなかった。さらに楽観性や柔軟性は起業の意思決定に影響がなかったが、リスク性向と意思決定には関係が認められた。これはアメリカで確認されている先行研究とは異なる結果で、日本独自の問題だと指摘しうる。
著者関連情報
© 2002 日本ベンチャー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top