抄録
本稿では耕作放棄地の活用によるバイオ燃料生産の可能性について検討した.また,耕作放棄地率が高い福島県をモデル地域とし,多収量米およびスイートソルガムを栽培して,バイオエタノールの生産・利用の最適化モデルを構築し,GHG排出量の少ないバイオエタノール生産・利用システムを検討した.結果としては,日本では農地への復元可能な耕作放棄地にて資源作物を栽培して約54万kLのエタノールが生産できる.また,福島県における水田・畑地への耕作放棄地にて多収量米およびスイートソルガムを栽培して年間約3.5万kLのエタノールが生産できる.バイオエタノールの使用により約3.2万t-CO2eq削減できる.また,多収量米よりスイートソルガムからエタノール生産のGHG排出削減効果が高かった.