抄録
本論文の目的は、移行期経済にある政府側の役割という視点から「北京のシリコンバレー」と言われるほど注目を集めている中関村テクノポリスの形成メカニズムを明らかにしながら、テクノポリス・ウィールモデルの妥当性を検証することである。中関村テクノポリスは中国のハイテク企業の密集地であり、IT産業の頭脳集積地でもある。当該地域は、中国テクノポリス政策の原点でありながら、現在でも全国各地のテクノポリスのモデルになっている。本考察を通じて、中関村テクノポリスの形成において地元の海淀区政府、北京市政府と中央政府は学術機関の研究成果の産業化促進、特別融資などを通じて、間接的でありながらプラス的な役割を果たしたことがわかった。また一部の差異があったものの、政府がテクノポリスの形成に重要な構成員であるというテクノポリス・ウィールモデルの主張が正しいことも検証された。政府と市場は資源を動かす二つの力である。両者のバランスは、当該国が直面している経済発展段階、産業組織、市場構造、政治環境、国際環境を反映すべきであるが、特に経済発展の初期段階においては、政府が生産的かつ効果的に介入することは可能である。