抄録
日本は、現在、新事業・新産業の創出に難渋しているが、新事業・新産業の創出のポイントは、何をつくるかを決める製品計画プロセスにある。本稿では、まず、製品計画がアントレプレナーシップと市場環境との相互作用から策定されるというモデルを提示する。そのプロセスは以下のとおりである。始めに、戦略ドメインとビジョンに基づいて、技術者のマーケティングを行い、それにより潜在ニーズを体感(マーケットイン)する。それを有力情報として製品コンセプトを創造し、その製品コンセプトをベースとしたセミプロダクトを顧客に提示(プロダクトアウト)する。これにより潜在ニーズを確認し、かつ詳細ニーズを把握(マーケットイン)して、それを詳細企画に生かす。 次に、このモデルの有効性を、東芝を中心とする日本語ワードプロセッサ産業の創出と盛衰を事例に用いて示す。