抄録
本稿は、企業家的志向性(Entrepreneurial Orientation: EO)を構成する2つのサブ概念である企業家のリスク姿勢および企業家的行動の相互関係、とくに企業家のリスク姿勢が企業家的行動に結びつく過程の解明を試みた探索的な事例研究である。研究対象は、山梨県の勝沼地域のワイナリーが、同地域における固有のブドウである甲州を国際ブドウ・ワイン機構にワイン用ブドウとして品種登録し、独自のラベルを冠したワインの英国輸出を実現した事例である。事例研究を通して次の2つの分析結果を得た。第1に、企業家のリスク姿勢が自社とプラットフォームでの活動を経て、企業家的行動に結び付く。第2に、自社内の取り組みに対する関係者からの評価と反応が、企業家のリスク姿勢に影響を与える。以上の分析結果は、産地における企業家的志向性の姿勢的側面と行動的側面とが結び付く過程は、地域内外の関係者たちとの相互作用が新たに生み出されるダイナミックなプロセスであることを示唆している。