抄録
混沌とした時代、社会問題を設定し、解決する人材が火急に必要とされている。その候補として、高専生(あるいは高専卒業生)が挙げられるのではないであろうか。高専生は15才から5年間、技術者になるために、実習を含む専門教育と一般教育を学ぶ。長らく高専生は「モノづくり産業を支える人材」と見なされていたが、昨今、起業家としての高専生への期待が高まっている。高専のPBLやインターンシップを中心とする実践的な教育システムや教育環境は、起業家教育に相通じるものがある。実際、高専生が在学中あるいは卒業後に起業した事例も散見されている。このような高専生の潜在可能性に着眼した政府や経済団体が高専を支援する動きがみられるようになっている。また高専OBたちが「高専会」と呼ばれる全国規模の高専ネットワークを結成し、自身のネットワーク拡大や後進の育成のための活動を行い始めている。このような変化は、高専スタートアップにとって追い風となるであろう。