TEAと質的探究
Online ISSN : 2758-8335
教職大学院現職教員間の協働的な省察的実践プロセス
授業者と観察者の二者間の関係性に着目して
林 直哉岡野 昇加納 岳拓
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2024 年 2 巻 1 号 p. 1-16

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抄録
本研究では,学校における授業づくりにおいて「授業者」と「観察者」の二者による協働が成立せず,協働の意義が実感できない現場の実態に問題意識を持った。そして,省察的実践のモデル構築が求められている教職大学院において,現職教員院生同士の二者が協働で授業実践を省察しながらつくりあげていくプロセスを解明することを目的とした。中学校第1学年保健体育科・球技(ハンドボール)の授業における「授業中の観察者のつぶやき記録」,「授業後の授業者と観察者のリフレクション記録」,「観察者の長期実習日誌記録」の3つをもとに,授業者と観察者が協働して授業をつくることを実感するプロセスを,二者の関係性が分かるようにTEM図を作成した。その結果,協働的な省察的実践への転機は,予定調和の事実に対する不満や,想定外の事実に対する戸惑いなどの揺らぎとして現れることが確認された。そして,その揺らぎの引き受け方として,「どのように授業を進めようとするか」に戻るのではなく,「どのような授業を進めようとしていたか」へと立ち返る挑戦的で卓越的な行為が,リ・デザインとして機能し,「質の高い経験ができる」可能性の高い環境づくりにつながることが明らかとなった。その際,二者間の教員の立場は変わることはないが,立ち位置が変わることで背後にある関係図式の転換がもたらされ,質の高い実践へと移行する可能性があることが示唆された。
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© 2024 TEAと質的探究学会
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