現代監査
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IFRS導入による監査・保証業務への実務的影響に関する課題と展望
日本企業におけるマネジメント・アプローチ
正司 素子
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2011 年 2011 巻 21 号 p. 16-26

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抄録
日本企業がIFRSの導入を考えるにあたり,様々な実務的課題が,会社の経理担当者や監査人において浮き彫りになりつつある。そしてこれらの課題を通じて感じられるのは,IFRSの底を流れている思想と,いわゆる日本的経営における思想との根本的な違いである。これらの背景的相違により,実務家はIFRSを解釈にあたり,大きな違和感を抱くことになる。しかしながらIFRSを適用するということは,会計の国際化のみならず,企業経営の国際化であり,経営を洗練させ透明性を高め,経営者としての説明責任を果たしていくことにつながる。これを可能とするためには,まず情報作成の現場で,経営管理体制を整備していくことが必要となる。監査人としても,個々の会計処理の正確性といった観点よりも,より経営の合理性や全体の整合性という観点に着目して判断を行っていくことになる。本稿では,上記の背景に基づき,IFRS適用にあたり検討すべきマネジメント・アプローチについて,ディスクロージャーおよび監査・保証業務への実務的影響について考察する。
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© 2011 日本監査研究学会
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