現代監査
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拡大する監査需要の増大への対応の促進
柴 健次
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2011 年 2011 巻 21 号 p. 84-92

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抄録

本稿は統一論題に対して監査の需給ギャップの発生とその解消という観点から接近する。企業からの開示情報が継続して拡大する傾向が続く中,情報利用者は監査に対する需要を高め続けるが,監査人はこれに対応する監査を十分に供給できないという現象が存在する。これを監査のパラドックスと呼ぶ。IFRS採択が現実化すると,監査対象である財務諸表の背景にある会計及び開示が,細則に基づく会計(開示)から原則に基づく会計(開示)へと重点移行する。これに対して,監査のアプローチである適正性監査と準拠性監査が組み合わさると4つの社会制度が生まれる。加えて細則にも原則にも分類不能な自由開示が拡大すると,監査の受け皿がないので,対象に適合する適切な監査を行うという監査本来のアプローチである「原則主義監査」が必要となる。これとの対比で4つの社会制度の選択を考えることが賢明である。

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© 2011 日本監査研究学会
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