現代監査
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原則主義にもとづく会計基準の下での監査の役割期待
井上 善弘
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2011 年 2011 巻 21 号 p. 75-83

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抄録

我が国において本格的な導入が予定されている国際財務報告基準は,原則主義にもとづく会計基準であるとされている。原則主義にもとづく会計基準には,中核となる原則ないし会計上の目的が書かれているだけであり,当該基準を実行に移すための詳細な適用指針の提供は予定されていない。このような性格をもつ会計基準の下では,財務諸表監査の担い手たる監査人には,従前にも増して,被監査会社で生起した会計事象や取引が持つ経済的実質とそれに関連する会計基準に関する深い理解の上に立った実質的判断の行使がよりいっそう要求される。また,原則主義にもとづく会計基準の下では,経営者が行った会計判断の根拠を示すとともに被監査会社の経済的実態を表す情報として,注記情報が定量的にも定性的にも大幅に拡充することが予想されるため,注記情報自体の信頼性及び財務諸表本体情報との関連性の評価が監査人の重要な課題となる。

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© 2011 日本監査研究学会
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