2012 年 2012 巻 22 号 p. 61-65
監査には,批判的機能と指導的機能があると言われるが,比較的規模の小さな中堅企業にとっては指導的機能が重要である。それはこの領域の企業の経理能力は大企業のそれに比較して低い傾向があり,公認会計士の助言・指導を必要としているからである。
公認会計士の助言・指導について,公認会計士側の認識と企業側の認識にズレがあることがある。企業側の考える助言・指導業務に傾倒しすぎる場合,依頼人に対する非保証業務の提供に抵触する可能性があり,事実公認会計士法に基づく処分事例が出ているところである。我々公認会計士は,監査の指導的機能に対するこの期待ギャップを克服し,企業側に十分な説明と理解を求め,強い信念をもって,独立性を保持し指導的機能を発揮していかなければならない。