現代監査
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実証モデルで用いられる会計事務所の規模変数がわが国で有効であるか否かについての検証
及川 拓也
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2013 年 2013 巻 23 号 p. 87-95

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抄録

本稿の目的は,実証モデルで用いられる会計事務所の規模変数がわが国において機能しているかを検証することである。本稿では,中央青山監査法人の解散を半強制的な監査事務所のローテーションとみなし,大規模監査人のレピュテーションが低下した状況で半強制的な監査事務所の交代が行われた時でも,監査人の規模を示すBIG3変数が機能しているかを検証した。検証の結果,国際展開しているわが国のクライアント企業(金融・保険を除く東証1部上場企業)がわが国の大規模監査事務所(Big 3)の監査の質を高く評価し,Big 3との契約を志向している可能性が示唆された。また,このことから,監査人の規模と監査の質には関係があり,Big 3との契約を志向するわが国のクライアント企業にとって,会計職業における自由化の推進や競争原理の導入はネガティブな情報となることが含意された。

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© 2013 日本監査研究学会
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