現代監査
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古代の資財帳とその監査
─監査思考からのアプローチ─
小西 一正
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2013 年 2013 巻 23 号 p. 96-103

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抄録

歴史を研究する人々が古代の資財帳に関心を持ち研究されているが,会計や監査の分野から古代の資財帳などに関心を持つ会計や監査の専門家がなかなか現れないのではないかと思ったことが本稿の契機である。何故,資財帳は当時の法令によって作成されたかについて述べる。奈良時代の律令制で統治した政府は,政府が援助している寺院の資産の厳正な管理のため資財帳を作成させたのである。すなわち僧や壇越などからの寺院が所有する資産の不正を防止することが,資財帳の作成目的であったのである。資財帳の記載内容は三つの節に分けられている。この三つの節とは,寺院の縁起の節,寺院の資産表示の節,資財帳の作成及び記録者とその検査(監査)の節に分けることができる。本稿では,現代監査の視点から,この資財帳の記録・作成者(寺院の三綱)と独立した機構(僧綱所)に所属する検査人に焦点を絞り検討している。

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© 2013 日本監査研究学会
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