株式会社は,少額の資本を拠出した株主が糾合した会社であり,その業務執行は取締役等の業務執行役員に委ねられている。このことが,業務執行役員による不正行為の遠因となっている。
このため,監査役等の非業務執行役員が業務執行役員の職務執行の監視・監督をし,業務執行役員による不正を減らす仕組みが株式会社には内在している。また,当該非業務執行役員がその職務を適切に行えるようにするため,業務執行役員からの独立性の確保が図られている。そこで本稿では,非業務執行役員の業務執行役員からの独立性を確保するための規制内容を明らかにするとともに,業務執行役員の不正行為に対する監査役等の職務内容を検討している。そして,監査役等の権限の範囲は広範であるにもかかわらず,監査役等の監督が業務執行役員の不正に対し十分には機能していない理由を検討し,会計監査人等との連携の重要性を指摘している。