本稿では,現代において保証が不正リスクに対応せざるを得ないそもそもの原因の1つであるリスクの概念に焦点をあて,その情報の開示と保証の意義について検討してみた。
会計事象はリスクあるいは不確実性を伴うリスク事象であり,当該情報の積極的な開示は,財務報告の枠組みの中で財務諸表以外の情報の開示を求めると同時に,財務諸表との統合開示を要求する。その結果,合理的保証の検討だけではなく,財務諸表以外の情報に対する限定的保証の検討が必要となっていく。
このように財務報告の対象となるべき情報を考える上では,合理的保証に加えて限定的保証の可能性がいかなる意義を有しているのか,また,限定的保証の限界はどこにあるのかを検討する必要がある。したがって,現在では,財務報告と保証におけるリスク概念の共有が限定的であるとしても,今後に向けてはリスク概念の共有を図っていかなければならない。