2016 年 2016 巻 26 号 p. 53-64
アメリカにおいては,1975年に公表された監査基準書第9号によってダイレクト・アシスタンスが導入されたことにより,外部監査人による内部監査業務の利用形態は拡大した。しかしながら現行のAUセクション322すなわち監査基準書第65号は,現行の国際監査基準610とコンバージしたものではないため,外部監査人が内部監査人を利用する場合の要件が,少なくとも規定上は国際監査基準よりも簡素なままとなっている。連携を考える場合のポイントの1つは独立性の問題であり,もう1つは内部監査機能の品質確保の問題である。国際監査基準610には,監査人の独立性を担保するための規定がおかれている。一方,内部監査機能の品質に大きく影響するものとしては,IIA基準の遵守の問題がある。また,内部監査と外部監査の連携を促進していくためには,連携によって双方にもたらされる効果の検証も不可欠である。