調整(コンピレーション)業務は非保証業務であるが,会計士が財務諸表に一定の信頼性を付与する業務として,諸外国では主として中小企業を対象に広く実施されている。わが国には調整業務に関する基準は存在しないが,2012年3月にIFACより,ISRS4410(調整業務に関する基準書)が公表され,今後の国内基準化も期待される。
また,AICPAは2014年10月に,調整業務を含む最新の業務基準書,SSARS No.21を公表したが,ISRS4410とSSARSにおける調整業務は,会計士の独立性の違いにより,報告書(レポーティング)の記載内容が異なっている。
一方,わが国では,調整業務に類似する業務として,会計参与報告,税理士による書面添付制度,中小会計要領(中小指針)のチェックリストの添付といった実務がすでに定着しているが,国際的な調和は図られていない。このような事実をふまえ,今後,わが国の中小企業の属性に配慮した,「中小企業の財務諸表作成証明制度」といった,新たな調整業務に関する基準作成が望まれる。