本稿は,国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council: IIRC)のパイロットプログラム参加企業が公表している保証報告書をサンプルに,統合報告書に対する保証業務の実態を調査・検討するものである。検討の結果,統合報告書に対する保証業務では,①保証命題として統合報告書の作成プロセスが重視される可能性が今後強まりうること,②評価規準としての『国際統合報告フレームワーク』の利用は限定的であり,保証範囲・保証水準の拡大・向上と関連して,他の評価規準の利用や,新たな評価規準の開発を検討する余地があること,③先行研究で指摘されてきた,会計士と非会計士による保証業務の明確な特徴の差の縮小による,利点・欠点を考慮する必要性,が指摘される。