2022 年 2022 巻 32 号 p. 54-64
日本の上場会社が公表する非財務情報(およびその基礎にある企業活動)に対して実施されている保証業務の実態を把握し,研究課題を明らかにすることを目的として,TOPIX100構成銘柄発行会社を対象として非財務情報保証業務の実施状況を調査し,入手した94件の保証報告書を分析した。確認した非財務保証業務のほとんどは,国際会計士連盟の枠組みまたはそれに準じる枠組みに準拠したサステナビリティ情報(数値)の基準準拠性または算定の正確性等に関する保証業務であるが,業務実施者ごと,あるいは業務実施基準ごとに特徴的な保証業務も確認された。
現行実務の分析結果に基づき,国際会計士連盟の枠組みとは大きく異なるAA1000保証基準に準拠したAA1000アカウンタビリティ原則への準拠性・適合性の保証業務との対比を通じて,記述情報を含む報告書全体の基準準拠性や表示の適正性等の保証に関する研究課題を提示した。