現代監査
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Toulminモデルによる無限定適正意見以外の監査報告書の分析
松尾 慎太郎
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2023 年 2023 巻 33 号 p. 112-124

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抄録

本稿は,「通常とは異なる監査意見等」の記載内容として要請されている「十分かつ適切な説明」や「特に丁寧な説明」が,監査実務において,どのような記載を意味していると理解され,どのような対応がなされているのだろうか,という問題意識のもと,Toulminモデルによる分析調査を通じ,「通常とは異なる監査意見等」の記載内容についての課題を明らかにすることを目的としている。分析調査の結果,範囲限定の場合に,「監査規範(裏づけB)」についての記載が観察されなかったことから,実施できなかったとされる監査手続について,なぜ,監査人が当該手続を計画したのか,そして,当初計画していた手続の代替的な手続としてどのようなものを検討したのかについての記載がなされていないということが明らかとなった。この点については,範囲限定ひいては意見不表明に至った経緯の「特に丁寧な説明」を検討する上で,重要な課題であると考える。

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© 2023 日本監査研究学会
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