抄録
本稿は,公認会計士試験と税理士試験がこのようなプロフェッションとしての特質を備えた人物を選抜できる制度となっているのかを,受験資格,試験科目,試験免除制度,登録要件の観点から考察し,どのような課題があるのかを明らかにすることを目的とするものである。
考察の結果,試験制度の観点から以下の課題があることが指摘できる。
・ 両試験とも試験内容を今後の会計プロフェッションとして必要な知識を有しているかを測ることのできる試験内容に変革していく必要があるのではないか。
・ 監査業務からの離職については,公共の利益の実現への貢献や,職業倫理の重要性といった教育を受けずに公認会計士になる者が多いことが一因ではないか。
・ 会計士試験については,顕著な若年会計士が存在しうる試験制度となっており,公認会計士は十分な実務経験を有しているという社会の信認を損なうことにはならないのか。