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2018年台風21号による強風で,多くの人的被害がもたらされた。台風による人的被害軽減に資する情報を示すことを目的に,本報告では台風21号による死者および負傷者の年代や負傷要因をまとめた。強風にあおられての転倒による負傷が最も多く,特に50代以上の被害者が多かった。また,屋根などから転落しての負傷は60代以上の高齢層で多かった。一方で,飛来物や自動車の横転などによる負傷者は40代以下の年齢層で多かった。負傷程度に着目すると,屋根からの転落等の事故は重篤な被害につながりやすかったが,転倒による負傷は軽傷にとどまる場合が多かった。飛来物による被害は,場合によっては深刻な被害をもたらすことが分かった。強風による人的被害を軽減するためには,強風下での行動に対する注意喚起をする必要がある。