日本風工学会年次研究発表会・梗概集
2019年度日本風工学会年次研究発表会
選択された号の論文の48件中1~48を表示しています
2019年度年次研究発表会梗概集
  • 友清 衣利子
    p. 103-104
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    2018年台風21号による強風で,多くの人的被害がもたらされた。台風による人的被害軽減に資する情報を示すことを目的に,本報告では台風21号による死者および負傷者の年代や負傷要因をまとめた。強風にあおられての転倒による負傷が最も多く,特に50代以上の被害者が多かった。また,屋根などから転落しての負傷は60代以上の高齢層で多かった。一方で,飛来物や自動車の横転などによる負傷者は40代以下の年齢層で多かった。負傷程度に着目すると,屋根からの転落等の事故は重篤な被害につながりやすかったが,転倒による負傷は軽傷にとどまる場合が多かった。飛来物による被害は,場合によっては深刻な被害をもたらすことが分かった。強風による人的被害を軽減するためには,強風下での行動に対する注意喚起をする必要がある。

  • 野田 稔, 友清 衣利子, 竹内 崇
    p. 105-106
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    平成30年台風21号は、強い勢力を保ったまま9月4日12時に徳島県南部に上陸し、紀伊水道を抜けて同日14時に神戸市に再上陸した後に日本海に抜け、近畿地方一帯に甚大な強風被害を残した。大阪府には65,000棟余りの住家被害が発生しており、被害の全貌を把握することが困難な上に、和歌山県北部の被害状況は長期間にわたって不明という状態が続いていた。そこで、小型飛行機を用いた航空調査を実施し、大阪府南部と和歌山県北部を対象に住家屋根に掛けられたブルーシートの分布状況を調査した。また、大阪府南部のブルーシート数と被災住家数の関係から和歌山県北部の住家被害数を推定した。

  • 後藤 和恭, 岸田 岳士, 佐藤 歩, 瀧本 浩史, 小野 浩己
    p. 107-108
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    近年,ドップラーライダを用いた気象観測は,多くの分野で利用されている。ドップラーライダの長期間気象観測への適用性を評価するためには計測精度に加えて,データの欠測状況を把握しておく必要がある。ドップラーライダに関する検証例は数多く挙げられるが,そのほとんどは検証期間が短い。ゆえに,ドップラーライダを長期間の気象観測に適用できるかどうかは明らかでない。本研究では近畿地方の太平洋沿岸で,2機種のドップラーライダを用いて,1年間の気象観測を実施した。本報告では,ドップラーライダのデータの欠測率と降水の関係について検討した結果を報告する。

  • 岸田 岳士, 後藤 和恭, 佐藤 歩, 瀧本 浩史, 小野 浩己
    p. 109-110
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    近畿地方の太平洋沿岸域にて,異なる2機種のドップラーライダDIABREZZAおよびStreamLine Proによる1年間の同時観測が実施された。観測を実施した2018年は近畿地方に4つの台風が上陸し多くの被害をもたらした。台風時におけるドップラーライダの同時観測事例や風速の鉛直分布,乱れの強さに関する検討例は少ない。本報告では2018年の台風21号通過時におけるドップラーライダの同時観測結果を対象に風速の鉛直分布,乱れの強さについて検討を行った。その結果,台風時におけるドップラーライダの計測精度は機種による差がほとんどないことがわかった。また,これまでに観測事例の少ない台風通過時の風速の鉛直分布や乱れの強さの特徴を明らかにした。

  • 佐々 浩司, 西井 章, 嶋田 宇大
    p. 111-112
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    2018年9月4日に近畿地区の広範囲に強風災害をもたらした台風21号について、伊丹空港と関西空港のドップラーレーダーデータを用いてデュアルドップラー解析を行うことにより、上空の風速分布を求めた。その結果、台風接近時には下層の気流にエクマンスパイラルが認められると共に地上付近の高度0.5kmに風速ピークが認められた。また、大阪で最大瞬間風速が観測された時刻には上空で67.6m/sの強風が観測された。

  • 畔上 泰彦
    p. 113-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    本研究では、過去10年間(2008〜2017年)に糸魚川で発生したフェーン現象の気候学的調査と2016年12月22日に発生した糸魚川火災時に吹走した強風を対象に気象モデルWRFを用いた再現実験を行った。気候学的調査の結果、糸魚川で発生するフェーン現象は太平洋に高気圧が、日本海に低気圧が位置し、日本を挟み南北へかかる気圧傾度によって駆動されている事例が多いことが明らかとなった。また、WRFを用いた再現実験および地形改変実験の結果から、風が脊梁山脈間の鞍部を吹き降りるおろし風的効果と風が山脈間を通過することによる縮流的効果の2つの効果によって強風が駆動されていたということが示唆された。

  • 野村 卓史, 田中 公人, 宝田 健太郎
    p. 115-116
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    風による飛来物の衝撃力を測定する基礎的風洞実験を実施した。4隅に圧電型ロードセルを取り付けたアルミ板を風洞風路の床面に設置し,そこに実験模型を飛翔・落下させる。実験模型は直径 25mm,質量3.2g の球体で,3Dプリンターで作製した。単体のロードセルに球体を落下させる測定し,アルミ板に同じ高さから落下させたときの衝撃力との関係を予め求めた。また,アルミ板状の予め指定した位置に球体を落下させ,4つのロードセルで測定した信号のピーク値の時間差から落下位置を推定する関係式を求めた。風速 5 m/s で球を飛翔・落下させる実験を行って落下位置の実験値と推定値の比較をした。

  • 松居 健人, 丸山 敬, 西村 宏昭, 野田 博
    p. 117-118
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    強風による建物被害の多くは飛散物の衝突に起因することが知られている。建物被害の低減のためには飛散物の衝撃力に耐えるように建物外装材を設計する必要があり、そのためには強風中での飛散物の運動を計算し衝突時の速度と姿勢を求める必要がある。飛散物の運動を計算するには飛散物の空力特性を求める必要がある。既往の研究では飛散物の空力特性は静的に計測されることが多いが、実際の飛散物に作用する風力は動的に変化するため動的空力特性を明らかにする必要がある。本研究では飛散物の動的空力特性を明らかにすることを目的とする。自立型計測装置を内蔵した飛散物模型を無風の環境下で自由落下させて風向風速が動的に変化するときの風力係数を計測し、静的に計測された風力係数と比較した。

  • 丸山 敬, 百田 大輔, 浅古 淳一, 寺内 雄偉
    p. 119-120
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    強風時に自動車の集積保管場所で発生する飛び石飛散により、自動車の損害が発生しているが、被害状況を見ると周囲の小石が飛散して車体に衝突し、損傷を発生させていることが明らかとなっている。ここでは、地表面の凹凸の違いによる飛散開始風速の変化を明らかにするために風洞実験を行い、砂利の飛散開始風速を求め、地面の凹凸の違い、および、砂利模型の間隔(配置パターン)による飛びやすさの変化を明らかにした。

  • 坪倉 佑太, 野口 恭平, 八木 知己
    p. 121-122
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    飛来塩分は鋼材の腐食を促進する因子の1つであり、鋼橋の塗膜の種類や厚さも架橋地点の飛来塩分量から決定されるため、あらかじめ架橋地点の飛来塩分量を正確に把握しておく必要がある。ドライガーゼ法は、日本国内の飛来塩分観測において広く用いられている観測法であるが、その捕集効率は明らかになっておらず、真の飛来塩分量を獲得できているのかも不明である。この原因として、気流とともに塩分粒子が捕集装置を迂回する効果や、一部の塩分粒子がガーゼの網目をすり抜ける効果が考えられる。このうち本研究では、1つ目に挙げた捕集装置近傍での塩分粒子の迂回効果をCFDを用いて評価した。その結果、粒子の迂回効果は風速、風向に依存し、ドライガーゼ法の捕集効率は風況に応じて変化する変数であることが明らかとなった。

  • 野口 恭平, 石渡 純也, 八木 知己
    p. 123-124
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    橋梁の維持管理において、大気中塩分濃度や橋梁部材への付着塩分量をあらかじめ把握しておくことは重要であるが、付着塩分量の抑制に関する研究は十分に行われていない。本研究では、地面に構造物を設置することで気流を変化させる手法を提案し、そのような設置物が断面周りの気流や塩分粒子の挙動に与える影響について、CFDを用いて検討した。基礎的検討として、断面辺長比B/D = 2.5の矩形断面を対象とした今回の研究では、矩形断面と地上設置物との距離が約6D以下の場合に地上設置物による気流操作・塩分低減手法が選択肢となること、断面下方に設置物を設けることで下側の剥離流れの性状が変化し、下面への付着量の低減につながることが判明した。

  • 張 秉超, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    p. 125-126
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    建物周辺の歩行者高さの風環境評価尺度として、村上らの「日最大瞬間風速の超過確率に基づく評価尺度」が広く使用されている。しかし、現在よく使われる日最大瞬間風速超過確率の計算手法には、主に次の2つの課題がある。まず、建物周辺気流の特性によっては、必ずしも評価地点の日最大風速が上空風の日最大風速によって引き起こされるとは限らない。さらに、風向の分割間隔が16個では十分でなく、評価地点の風速の最大値を捉えられない可能性がある。そこで本研究では、上記の課題を解決するため、改良した日最大瞬間風速超過確率の評価手法を提案した。また、東京の気象データ及びCFD計算結果に基づいて、2:1:1角柱モデルの周辺の日最大風速を計算し、従来手法による超過確率の過小評価の傾向が提案手法によって改善されることを示した。

  • 胡 家龍, 栗田 剛
    p. 127-128
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    風環境及び屋外温熱環境評価を実施する場合,評価対象敷地の近くの気象観測所のデータを用いることが多い。しかし,対象敷地と観測所との距離が離れていたり,敷地周辺の地形や建物の影響によって,妥当に評価されない可能性がある。この問題を解決するために,工業団地内にある小規模の緑地内で夏季の期間の実測を行い,実測点と付近のAMeDAS観測所2か所のデータを比較し,傾向を分析した。その結果、夏季晴天日の風向は3地点ともに北と南の出現頻度が高く,夜は北風,日中は南風になるパターンが多かった。実測点と北に位置する八王子との気温差は風向パターンによって大幅に変わったが、南に位置する海老名との気温差はいずれのパターンでもほぼ同様であった。

  • 富永 禎秀, 村山 唯, 五十嵐 賢次
    p. 129-130
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    本論文では、これまで筆者らが開発してきたCFDに基づく屋根雪分布予測手法を2段屋根建物モデル上で形成される積雪分布に適用し、その精度を検証したものである。従来より筆者らが実施してきた雪面形状の変化が流れ場に影響を及ぼさないSingle解析と降雪イベントをいくつかのPhaseに分け、形状変化が流れ場に及ぼす影響を考慮するPhase解析の結果を観測結果と比較した結果、Single解析は屋根端部の積雪深の侵食などの基本的な形状は再現したもの、積雪深がやや過小であるほか、観測には見られないピークが発生するなど細部において違いが見られた。Phase解析の結果は、Single解析に比べて全体的に積雪深が増加し、観測に近づいた他、観測結果に見られる細部における積雪深分布の傾向も再現する傾向にあった。

  • 河合 英徳, 田村 哲郎, 巣山 裕記
    p. 131-132
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    本研究では気象擾乱が都市境界層の乱流場に及ぼす影響をLESにより明らかにする。初めにWRF-LESと空間フィルタリング・リスケーリング手法により理想的な大気境界層の流入条件を作成したうえで、作成した流入条件を実市街地の形状を解像したBCM-LESに接続した。通常の乱流境界層による流入条件を用いたBCM-LESによる解析結果との比較を行った結果、気象擾乱を含んだ流入条件を用いた解析結果では都市境界層の上部にも変動が得られると同時に、上空の風速変動が都市形状上空の乱流場に影響を及ぼすことを示した。

  • 山口 敦, 石原 孟
    p. 133-134
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    本研究では,数値流体解析,モニンオブコフ相似則およびメソスケールモデルによる気象解析の結果を組みあわせることにより,低高度の風速観測値から高高度の風速を推定する手法を提案するとともに実観測データを用いて検証を行い,以下の結論を得た.銚子沖においては南風時には大気安定度の影響が大きく、る北東風時には地形の影響が大きいため、数値流体解析やメソスケール気象モデルの鉛直分布を用いる従来の手法では正しく風速を推定できないが,提案した手法により鉛直分を高精度に再現できる.提案した風況予測手法は従来の手法と比べ,年平均風速の予測精度が向上すると共に,回帰曲線のSlopeが±3%以内かつ決定係数が0.97以上のクラティアを同時に満たせる.

  • 石原 孟
    p. 135-136
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    LESモデルを用いた都市域内の乱流場を予測し、平均風速と乱流強度は風洞実験の結果とよく一致した。

  • 髙舘 祐貴, 植松 康
    p. 137-138
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    本研究は,LESを用いたCFD解析に基づき,大スパン屋根の空力安定性を評価した研究である。屋根形状は陸屋根,円弧屋根,吊屋根の3種類の形状に着目する。流入気流には一様流と境界層乱流を用いることで,気流の乱れが屋根の振動に及ぼす影響を明らかにする。そして,大スパン屋根の空力安定性を明らかにするために,屋根を対称一次モードと逆対称一次モードで強制加振させたときの強制加振1周期に対するエネルギー収支を計算する。そして,エネルギー収支に基づき,各屋根形状に対して空力不安定振動の発生条件を示す。

  • 普後 良之, 田村 哲郎, 佐藤 大樹, 勝村 章
    p. 139-140
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    高層建物の構造設計において用いられる風洞実験用の風圧模型は、そのファサードの詳細形状が風力計測に与える影響が不明のままデフォルメ再現されることが多い。バルコニーはデフォルメ再現されることが多い形状の1つであり、本報はバルコニー再現の差、バルコニー計測の有無、および測定点配置の差が層風力に与える影響を確認した事例紹介である。バルコニー形状を再現しない場合は平均および変動層風力に対し過大評価を与え、バルコニーをボリュームにデフォルメして再現すると過小評価を与えた。バルコニーそのものが負担する風力は小さかった。また測定点はバルコニーの内側の躯体に配置しても、目隠し壁の外側に配置しても層風力に与える影響は軽微であった。

  • 田中 英之, 曽根 孝行, 大竹 和夫, 山本 雅史
    p. 141-142
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    近年,性能向上や設計業務の合理化等を目的とした最適化技術が様々な分野で活用され始めており,風工学分野においても風外力に対して有利な構造物の形状デザイン等で活用しようとしている。しかし、最適解の算定に1000ケース以上必要とも言われる最適化計算のプロセスにおいて、組み合わせるCFDモデルとしては、LESに対して精度は劣るが、計算負荷の低いRANSモデルを活用する他に現時点では選択肢がない。そこで、本報告では、風外力を低減する建物形状・配置についての最適化計算にRANSを組み合わせ、既往の実験的研究と比較した。結果として、RANSであっても最適化技術と組み合わせることで、風外力に対して相対的に有利な建物形状が把握できる可能性を示した。

  • 松田 一俊, 加藤 九州男, 中村 雄太, 神谷 健太
    p. 143-144
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    タンデム正方形角柱の空力振動に関する既往の研究では,一様流中に直列に置かれた2角柱のうち注目する試験体を弾性支持し,他方を固定した状態で2角柱の間隔を変化させて研究を行っている.しかし,研究機関によって模型支持条件だけでなく,スクルートン数,アスペクト比等の実験条件が異なることから,タンデム正方形角柱の空力振動に及ぼす模型支持条件の影響,ひいては耐風設計上安全側の評価を与える模型支持条件が明らかになっていない.本研究では,タンデム正方形角柱の主流直角方向振動を対象に風洞実験を行い,著者らの既往の研究で明らかになったタンデム正方形角柱の主流方向振動(インライン振動)特性に与える模型支持条件の検討結果も勘案した上で,タンデム正方形角柱の空力振動に与える模型支持条件の影響を総括的に明らかにすることを目的とする.

  • 中藤 誠二
    p. 145-146
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    自重による静的たわみの大きい矩形断面梁を対象に風洞実験を起こった。風速と迎角をパラメータとして固定端において作用する風荷重および自由端の加速度を測定した.迎角0°前後の空気力の勾配は平板翼の理論値の25%ほどになった.変動空気力係数は-9°と8°で極大値をとった.

  • 奥西 智也, 八木 知己, 小松 尚弘, 小野 拓海, 松宮 央登, 野口 恭平
    p. 147-148
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    耐風安定性の観点から,空力自励振動の微小振幅域と対象とした検討がなされてきた.そこで,ねじれフラッターを発現する断面辺長比5矩形断面における,高無次元風速域での大振幅応答特性を,相対迎角速度に着目し確認した.本研究では,新たに相対迎角速度を考慮した空気力の定式化を行った.回転速度一定時の空気力測定実験で測定した相対迎角速度を考慮した空気力と,ねじれ1自由度正弦波振動中の非定常空気力との一致を確認し,相対迎角速度の大振幅ねじれ振動への影響を明らかにした.さらに,高無次元風速域での風応答測定実験で得られた3自由度応答を,相対対迎角速度を考慮した空気力を用いた時間領域応答解析により説明した.

  • 山本 宗一郎, 八木 知己, 王 嘉奇, 潮田 潤, 市川 英和, 野口 恭平
    p. 149-150
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    側面に任意形状の開口部を設けた断面辺長比B/D = 2の矩形柱における,側面開口部がもたらす空力特性を検証するため,鉛直一自由度ばね支持自由振動実験及び空気力測定実験を行った.さらに,得られた空力特性のメカニズムを流れ場の観点から検証するため,流れの可視化実験及びPIV解析を行った.その結果,側面開口部が大きくなるほど,ギャロッピング発現風速が高風速側へ移動することが分かった.さらに,開口部面積比率(OR)が0から0.75までは,ギャロッピングの励振力が大きくなっていき,OR = 0.75で最大になる.更にORが大きくなると励振力が小さくなっていくことが分かった.これは,側面開口部が大きくなるほど,時間平均の剥離流れが桁後縁に接近し,開口部面積比率が0.875の時,開口部断面において矩形柱表面に再付着することが原因であると示唆された.

  • 小林 俊之, 山田 均, 勝地 弘, 筆保 弘徳
    p. 151-152
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    地球温暖化による海面水温の変化が台風に影響を与えて年最大風速の極値分布が変化する可能性がある。フルトラック型台風シミュレーションでは海面水温の影響を受けた台風の発達を疑似的に再現し、日本に襲来した台風のデータを抽出することで、海面水温が極値分布に与える影響を推定できる。しかし、計算する台風の経路が長いことから誤差が蓄積しやすく、従来の方法では台風の強度が低く見積もられていたため精度評価は重要である。本研究では、従来モデルでは乱数に寄与する部分が大きかった中心気圧低下量のモデル等を改善した。そして、提案するモデルと従来のモデルを日本の各地点で観測値との比較を行い、中心気圧低下量を観測値に近づけることを示した。

  • 福原 隆彰, 荒木 啓司, 高見 和弥
    p. 153-154
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    鉄道沿線に設置する風監視設備や防風設備の適切な配置の検討にあたり、日最大瞬間風速が大きい箇所を評価する手法として、気象庁アメダス観測点の観測結果をもとに地形因子解析による突風率の推定式について、過去の研究では気象官署の観測データのみを用いて突風率の推定式を算出したが、周辺地形が開けた土地であることが多かった。そこで、周辺地形が多岐にわたる周辺地形が多岐にわたるアメダスの観測データを加えた地形因子解析を行い突風率の推定式を求めた。その結果、推定誤差が50%程度減少し、より確からしく日最大瞬間風速を推定できることを示した。

  • 岩下 久人, 森田 敏明, 柴田 耕志, 小林 文明
    p. 155-156
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    POTEKA小型気象計により構成された地上稠密気象観測網(約150地点、約2�q間隔)を持つ群馬県・埼玉県平野部は、夏季には平野部を囲む山地で発生した積乱雲が観測網内を発達しながら進行し、ダウンバーストやガストフロント等の突風を発生させる傾向が強い。2013年7月から約6年間の観測実績の中で、藤田スケールF1レベルや改良型藤田スケールJEF1レベルの5件を含む計13件もの突風事例の観測に成功した。特に被害の大きかった2015年6月15日のF1ダウンバーストと2016年7月14日のJEF1ダウンバーストでは、風向・風速の局地的な変化が観測され、ダウンバーストの下降流によると思われる発散風を捉えた兆候も確認された。

  • 劉 美智, 松井 正宏
    p. 157-158
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    竜巻は日本における建築物の強風被害要因の一つである。竜巻の被害を減らすには,竜巻の流れがどのような性質を有しているかを調べる必要がある。本研究ではステレオPIVシステムを構築し,竜巻状発生装置を用いて,竜巻状流れ場の計測を行った。また,得られた平均風速分布に粗度が与える影響を調べた。その結果,接線方向風速と半径方向風速に関しては,風速絶対値での最大値の発生位置が,粗度有りは粗度無しよりもより床面から遠い場所で発生した。鉛直方向風速に関しては,下降流が降りて到達した計測高さは,粗度有りは粗度無しより床面から離れた位置となった。また,乱れ強さの鉛直分布に関しては,一般の大気境界層流とは異なる傾向がみられた。

  • 宮城 弘守, 佐々 浩司
    p. 159-160
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    2018年9月30日高知市に上陸した2本の海上竜巻の画像解析を行った。海上竜巻を捉えた画像をランキン複合渦モデルを利用して解析したところ、水飛沫の幅から推定した循環が漏斗雲の性状から推定した循環の1/3程度の値を示した。さらにその値が0.25×104[m2/s]程度以下になると、F0級の被害も発生しにくい可能性が示唆された。竜巻2本の威力の大小関係は、レーダー観測、漏斗雲画像から求めた循環、水飛沫から求めた循環の何れでも整合しており、海上竜巻監視への活用が考えられる。

  • 益山 由佳, 植松 康, 中村 修
    p. 161-162
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    屋上広告板は適切な耐風設計がなされていない場合が多いことを背景に、その強風被害の減少を目的として、筆者らはこれまで屋上広告板に作用するピーク風力係数について検討を行ってきた。筆者らの既往の検討では広告板端部で大きなピーク風力が作用することを示しており、また、建築物の形状と建築物隅角部と広告板の位置の関係が広告板端部の正のピーク風力に大きな影響を与えることを示している。一方で、地上に自立する平板に作用する風力についてはいくつか既往の研究があり、これらは平板の幅bと高さhの比(b/h)が平板に作用する風力に影響を与えることを示している。本報では、広告板端部の正のピーク風力に対する建築物の影響をより明確にすることを目的とし、広告板単体の状況を対象に実験を行い、建築物屋上に設置される広告板の結果と比較し、建築物の影響を検討する。

  • 甲斐 リサ, 近藤 広海, 木村 吉郎, 大幢 勝利, 高橋 弘樹
    p. 163-164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
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    建築物の解体工事においては防音パネル付き足場が使用されることが多い.防音パネルは取り外しが困難であり,耐風性の確保が重要なため,防音パネルにかかる空気力分布を風洞実験で測定した.足場と建物の模型を作成し,風洞内に境界層乱流を生成させた.実験結果は風力係数として整理し,コンター図を作成した.パネル模型のスリットを無くしたことにより,風上面ではスリット有りの実験結果より大きな値が測定された.また,標準偏差も比較的大きな値となった.最大値は風向22.5°,最小値は風向135°で得られた.最大値・最小値が現れた箇所はともに,同一面の中で比較的大きな標準偏差となった.実験結果を設計値での風力係数と比較すると,最小値では比較的絶対値の小さい値となっていた.

  • ガヴァンスキ 江梨, 合田 理穂, 西村 宏昭
    p. 165-166
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    強風による金属屋根被害の原因の一つに金属屋根葺き材と屋根構造の接合部にあるネジによる屋根葺き材の端切れ破壊がある。鋼板製屋根・外壁構法標準であるSSR2007とSSW2011では対応しきれていない部位の構法ディテールや保全方法等をまとめた鋼板製屋根・外壁の設計・施工・保全の手引きMSRW2014には、この端空き強度を確認する試験方法と結果が示されている。しかし全般的な薄鋼板の端切れ現象の把握を目的としているため、パラメータごとに1体でしか試験は行われていない。そこで本研究では試験体数を各パラメータに対して5とした端切れ破壊に対する金属板耐力評価実験を行い、より統計的に信頼できる最大耐力の算定と金属板端切れ破壊時の耐力算定式の提案を目指す。

  • 喜々津 仁密
    p. 167-168
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,タイトフレームのねじ接合部における損傷メカニズムを理解することを目的に,試験体のディテールを模擬した解析モデルを作成し,試験と同様の載荷条件でFEM解析を試みた。解析では試験結果と同様の変形の過程が再現できたが,変位量に試験結果との差異が見られた。引き続き,解析条件の見直しとモデルの確認が必要である。

  • 玉城 麿, 西村 宏昭, 丸山 敬
    p. 169-170
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    近年、沖縄県のような暑い地域では、ネットハウスの利用面積が拡大しているが、台風来襲時は多くのビニールハウスと同様に、倒壊やハウス内の作物への被害が度々見られる。そこで、強風に対するネットハウスの設計法を確立することを目的に、野外に実物大のネットハウスを設置し、ネットに加わる風力とネットによる防風効果の観測を自然風中で実施した。風力の観測では、通気性のあるネットにおいても風速の増加に伴い、鋭いピーク風力の発生が確認できた。その時、屋根面には吹き上げ力が発生し、その単位面積当たりの力は風下壁面と同程度になることが示された。このような現象が発生する要因として降雨によるネットの目詰まりの影響が考えられた。一方、風速低減率は35%以下となることが確認できた。

  • 吉田 昭仁, 増子 啓太, 岩瀬 英美子
    p. 171-172
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    気象庁では2016年4月に日本の建築物などに対応した日本版改良藤田スケール(JEFスケール)を策定し運用を始めている。しかし、現在のJEFスケールでは、被害度(DOD)が当てはまらず評定対象外となる場合も存在する。被害指標(DI)=10の物置は固定されていないことが前提条件となっており、固定されている場合は評定対象外としている。しかしながら、物置メーカーは固定することを推奨している。本研究では固定されている物置について、被害発生風速を推定しJEFスケールに追加することを目的として検討を行った。

  • 今野 尚子, 白澤 多一, 田中 英之, 大竹 和夫
    p. 173-174
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは、多様化する屋外空間の利用状況に対応するため、対象者の活動状況ごとの屋外風に対する感覚について調査したいと考えた。2017〜2018年の中間期に屋外フィールド実験を実施し、風速と体感に関するアンケート回答を収集した。本稿では、2018年秋季に実施した屋外フィールド実験の概要とアンケート結果の一部を示した。ばらつきはあるものの、風速の強弱についてのアンケート評価は平均風速値と相関する結果が得られた。風の適不適については、活動内容ごとにやや異なる傾向がみられた。

  • 大風 翼, 菊本 英紀, 池谷 直樹
    p. 175-176
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    近年、計算機能力の向上によって、LESは、風洞実験に替わるアセスメントツールとして活用されることが期待されている。従来のRANSモデルに基づく風環境影響評価では、平均場風速にガストファクターを乗じ、最大瞬間風速を推定していたが、LESにより、直接、その予測が可能である。本研究では、単体角柱周辺流れのLESを実施し、建物風上の風速変動と建物周辺の歩行者空間の相関を分析するとともに、ある強風イベントに着目し、流跡線により、強風をもたらす空気塊の移流経路の分析を行ったのでその結果を報告する。建物側方において強風が発生した際の流跡線を分析すると、建物風上の建物から歩行者高さの建物風上角部に空気買塊が直接流入しており、接近流の乱流構造が建物側方の強風に大きな影響を及ぼす可能性がある。

  • 菊本 英紀, 大風 翼, 池谷 直樹, 富永 禎秀
    p. 177-178
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    都市境界層流中に置かれた単体建物モデル周辺気流に関するlarge-eddy simulation (LES)を実施した。このLESの結果に基づき、歩行者高さにおけるgust factor (GF)およびpeak factor (PF)に関する解析を実施した。平均風速は建物の上流側角部近傍で最も大きくなったが、GFとPFはこの位置では比較的小さな値を示した。GFの統計的不確かさは平均風速が大きくなるとともに減少する傾向にあった。しかし、PFの不確かさはいずれの位置でも同様な大きさを示し風速との明確な関係は存在しなかった。

  • 林 超, 大岡 龍三, 菊本 英紀, 佐藤 大樹, 新井 舞子
    p. 179-180
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    非常用発電機の運転により高温かつ汚染物質を高濃度に含むガスが建物周辺で排気される。定期的な試験運転が行われるため、日常的に市街地内で人や建物が高温度・高汚染物質濃度の排気ガスに晒される安全・健康リスクが高まっている。本研究では、風洞実験による低密度ガス(Light)および環境空気と等密度なガス(Neutral)の拡散実験を行い、濃度の平均値や変動の強さ、ピーク値などを比較し、高温排気ガスの拡散性状を検討した。平均濃度では、後流域での逆流のため風下壁近くで両方のケースで高濃度が見られた。浮力により、LightガスはNeutralガスに比べて比較的低い濃度を示したが、濃度変動強度と最大濃度比が同程度であった。

  • 立花 卓巳, 佐々木 亮治, 下瀬 健一, 白澤 多一, 中山 悟, 宮下 康一, 義江 龍一郎
    p. 181-182
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    著者らは、既報で作成方法の異なる3種類の流入変動風を用いて、都市街区モデル内の流れ場のLES解析を行い、風洞実験結果と比較検討を行った。その結果、建物に囲われた場所では、流れ場には流入変動風の作成方法による依存性は、ほとんど見られなかった。本報では、これと同じ都市街区モデルを用いて、流入変動風の作成方法が拡散場に与える影響を調査した。その結果ブロックで乱された場所では、流入変動風の作成方法が拡散場に与える影響は少ないと考えられる。これまでは、統計値等の比較を行ってきた。今後は風洞実験とLES解析で、無次元濃度の時間平均値が異なる理由や風洞実験の標準偏差がLES解析に比べて低くなる理由について、スペクトル解析等を用いて検討していく予定である。

  • 赤林 伸一, 有波 裕貴
    p. 183-184
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    これまで、外部風を駆動力とした自然換気量の算出・評価には壁面等の時間平均風圧係数が用いられており、外部風の変動により生じる圧力変動は考慮されていない。本研究では、Large-Eddy Simulation(以下:LES)を用いて東京都千代田区丸の内地区のモデルを対象に解析を行う。算出された壁面の風圧係数の変動を基に換気回路網計算を用いて、平均風圧係数による換気量と瞬時風圧係数による時々刻々の換気量の算出することで、風圧変動による自然換気量の定量的に評価することを目的とする。

  • 松原 大輔, 藤本 恵美子, 本間 真, 和田 浩行, 大風 翼
    p. 185-186
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    大規模円柱構造物に衝突する大気境界層流れは、しばしば極超臨界レイノルズ数に達することがある。この領域の流れを風洞スケールで再現することは、風洞性能の制限から難易度が高い。一般的に極超臨界レイノルズ数領域の抵抗係数を再現するために、円柱表面に粗度を設ける方法が用いられる。粗度を有する円柱周りの流れを対象とした実験は数多く報告されているが、LESを用いた解析例はあまり発表されていない。そこで本稿では、煙突を対象とした実験の数値解析による代替に向けて、LESを用いた粗度付き二次元円柱周りの流れを数値解析し、空気力係数を求め、実験結果と比較した。

  • 長谷部 寛
    p. 187-188
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    付加物を有する物体まわりの流れを数値流解析で直接的に扱う際,特にその形状が曲線や曲面である場合には,形状近似誤差が結果に影響を及ぼさないように,付加物周辺を局所的に細かく解像した解析メッシュが必要となる.一方で,近年Hughesらにより提案されたアイソジオメトリック解析法は,CADの形状表現に用いられるスプライン関数を有限要素解析の基底関数に採用することで,形状近似誤差を排除し,僅かな要素数でも厳密な形状表現が可能になる.本研究では,アイソジオメトリック流体解析法を構築するとともに,その検証のため,付加物を有する円柱まわりの解析を行い,付加物の有無により流れに若干の差異が生じることを確認した.

  • 三浦 景祐, 松井 正宏
    p. 189-190
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    煙突の目的は、発電所や工場から排出される排ガスを上空に拡散し、地上に到達する排ガス濃度を減少させることである。煙突の筒身の径や高さは、排ガス濃度が環境基準を満足するように決定されるため、通常の構造物よりもスレンダーな形状になることが多く、アスペクト比20以上となることも珍しくない。本研究では、アスペクト比の大きい円筒形に働く空気力学的性質を明らかにするため、風洞実験を実施し、主に風圧力分布に着目して整理を行った。

  • 福島 温樹, 八木 知己, 下田 拓也, 榊 一平, 野口 恭平
    p. 191-192
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    長大橋のケーブル等,円柱が並列に配置された構造に風が作用することでみられる振動として,ウェイクギャロッピングやウェイクインデューストフラッターがあり,これまで多くの研究がなされているが,振動発現機構に関しては未解明な点が多い.本研究では,自由振動応答実験で無次元風速に応じ性状の異なる振動応答が生じる模型配置について,非定常空気力測定実験及び2自由度フラッター解析を行うことで,無次元風速や円柱模型配置と振動発現機構との関係を明らかにすることを試みた.円柱模型配置がわずかに異なると発現機構が異なる振動が生じることが明らかとなった.また,無次元風速の変化に伴い非定常空気力係数H1*の値の正負が入れ替わることで発現機構の異なる振動が生じる模型配置が存在することが判明した.

  • 松宮 央登, 山本 啓太, 八木 知己
    p. 193-194
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,任意波形が入力可能な回転装置を用いた空気力測定実験により,4導体電線模型を対象に,角速度の影響に着目した非定常空気力を測定し,その特性について考察を行った.一定角速度で回転させた空気力測定実験により,迎角・無次元角速度の2変数関数で定義した空気力係数を直接測定し,正弦波による強制加振実験による非定常空気力係数と比較することで,定式化の妥当性を確認した.

  • 垂石 早紀, 松宮 央登, 松島 宏樹
    p. 195-196
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    着氷雪した電線が風を受けると,ギャロッピングが発生し電線の短絡・疲労に繋がる恐れがある。ギャロッピング現象の理解のため,著者らは実規模試験線を用いた観測を行っている。このとき,計測のコストが高い変位ではなく,比較的簡易にデータを多数取得できる張力により電線の振動モードを推定できれば,現象解明に有効である。本発表では,実規模試験線において種々の振動モードの加振試験を行って変位と張力を測定した結果を示し,それらの関係を議論する。振動の腹を奇数個持つ振動モードでは変位と張力から算出した固有振動数がよい一致を示すが,偶数個の場合は一致せず,正確な振動モード推定には卓越振動数と共に各振動モードの張力変動の大小も考慮する必要があるとわかった。

  • 入江 亮太, 木村 吉郎, 細見 雅生, 幽谷 栄二郎
    p. 197-198
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/12
    会議録・要旨集 フリー

    中型風車がロシアの独立電力系統地域でコストの削減を図るために導入が進められている.非常に寒冷で低温や着氷時の影響を考慮することが重要なため,低温ならびに着氷時の応答解析を行い,それが応答にどう影響をおよぼすのかを明らかにする.低温による影響は空気密度の増大による風荷重の増加,着氷による影響はブレード重量増加に伴う遠心力の増大,2枚着氷時の偏心による回転の不安定化という形で表れた.

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