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本研究では、過去10年間(2008〜2017年)に糸魚川で発生したフェーン現象の気候学的調査と2016年12月22日に発生した糸魚川火災時に吹走した強風を対象に気象モデルWRFを用いた再現実験を行った。気候学的調査の結果、糸魚川で発生するフェーン現象は太平洋に高気圧が、日本海に低気圧が位置し、日本を挟み南北へかかる気圧傾度によって駆動されている事例が多いことが明らかとなった。また、WRFを用いた再現実験および地形改変実験の結果から、風が脊梁山脈間の鞍部を吹き降りるおろし風的効果と風が山脈間を通過することによる縮流的効果の2つの効果によって強風が駆動されていたということが示唆された。